作品評の記事一覧
公開中の話題作を中心に、幅広い作品を映画評論家・ライターが徹底レビュー。
『ブラック・クランズマン』から見えてくる“今のアメリカ” 強烈なエンディングの意図を読む
『グリーンブック』『ブラックパンサー』『ブラック・クランズマン』と、人種問題を題材にした作品がノミネートされた今年のアカデミー賞…
『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』が描く“剥き出しの世界” 前作以上に荒ぶる男たちの凄み
まさに激震である。これほど極度の緊張に胸をきしませながら、死力を尽くす登場人物たちを最後までしかと見届けたいと感じたことはない。…
“壁ドン”にトキめく乙女心に年齢制限なし! 上白石萌音×杉野遥亮×横浜流星が贈る『L・DK』
映画『L・DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』(以下、『L・DK』)を観て、トキめかない女子はいるのか。いや、いない。そう…
『大脱出2』は「!?」が連発する謎の映画? シルヴェスター・スタローンの転がる人生を再確認
どうした!? スタローン!? というわけで『大脱出2』(2018年)である。スタさんとシュワちゃんのダブル主演で贈る脱獄映画『大…
『バンブルビー』に継承された“スピルバーグ・イズム” 格闘アクションはシリーズ最高の完成度に
『バンブルビー』(2018年)は『トランスフォーマー』シリーズに登場する人気キャラクター「バンブルビー」のスピンオフであり、前日…
『イップ・マン外伝 マスターZ』アクションが果たす重要な役割とは? カンフー映画の真骨頂に
公開中の映画『イップ・マン外伝 マスターZ』(以下『マスターZ』)は、ブルース・リーの唯一の師であるイップ・マン(葉問)を主人公…
『えいがのおそ松さん』には何が描かれていたのか? 自己分析を反映させたファンサービス
2015年から、1期、2期にわたって放送されたTVアニメ『おそ松さん』。赤塚不二夫の生誕80周年を記念して作られた、『おそ松くん…
『シンプル・フェイバー』は極上のサスペンスコメディに ポール・フェイグによる視覚的レトリック
“The Lady Vanishes”(女性が消える)を原題に持つ映画、それがサスペンスの巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督の『…
【ネタバレあり】『キャプテン・マーベル』はなぜ分かりやすい直球のヒーロー映画になったのか?
マーベル・スタジオ初となる、単独女性ヒーロー映画『キャプテン・マーベル』。2015年にアカデミー賞主演女優賞を獲得したブリー・ラ…
暴れたいのに暴れられない人へ 『キャプテン・マーベル』の熱いメッセージ性と軽快なユーモア
「女の子だって暴れたい」。これは日本で大人気のアニメ『プリキュア』シリーズの1作目、『ふたりはプリキュア』の企画書に記されていた…
『のび太の月面探査記』は「映画ドラえもん」の集大成 “SFのロマン”を探求する物語に
「学校の裏山で見つけた古井戸が地底人の出入り口だと主張し、スネ夫から馬鹿にされたのび太。そこでドラえもんが出したひみつ道具は“異…
“黒人スパイダーマン”誕生の背景は? 『スパイダーバース』が伝えるメッセージを読み解く
ハリウッドは、スパイダーマンの通過儀礼を繰り返してきた。サム・ライミ監督による『スパイダーマン』から『アメイジング・スパイダーマ…
辻村深月の愛が溢れた意欲作に 『映画ドラえもん のび太の月面探査記』に見る作家性
春の子ども向けアニメ映画興行はドラえもんで幕を上げる。 ドラえもんシリーズ39作目の『映画ドラえもん のび太の月面探査記』が…
『キャプテン・マーベル』が愛と正義の戦士になるまでの軌跡 その精神はセーラームーンに通ずる?
3月8日は国際女性デー。女性差別撤廃を目指し、女性の地位向上を称えるこの日にマーベル・シネマティック・ユニバース(以下、MCU)…
『スパイダーマン:スパイダーバース』に心を揺さぶられる理由 ストーリーや画期的な演出から探る
第91回アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞したのは、マーベルコミックスの有名ヒーロー、スパイダーマンの活躍を描いた、『スパイ…
マックス・チャンのアクションが凄まじい! 『イップ・マン外伝 マスターZ』は超王道の娯楽活劇に
詠春拳の使い手・張天志(チョン・ティンチ)は、同じく詠春拳の達人である葉問(イップ・マン)との看板を賭けた対決に敗れ、武術界から…
『グリーンブック』観客を楽しませつつ啓蒙する“大衆性”の是非 批判を生む背景から考える
2019年2月24日(現地時間)におこなわれた第91回アカデミー賞。注目の作品賞は『グリーンブック』に与えられた。社会性の強い題…
宮崎駿監督作品からの影響も? 『移動都市/モータル・エンジン』に隠されたテーマ
超巨大な車体に、街が丸ごと乗っている「移動都市」が無数に存在する未来。大地を駆け抜け、大きな都市が小さな都市を追いつめて“喰らう…
何がSFラブストーリーを成立させた? 『九月の恋と出会うまで』高橋一生と川口春奈の“瞳”の名演
大切な人を想うがあまり、強く傷つけてしまうこともある。切ない嘘を乗り越える2人が瑞々しく描かれたSFラブストーリー『九月の恋と出…
『グリーンブック』はアカデミー賞作品賞にふさわしかったのか? 批判される理由などから考察
第91回アカデミー賞の栄えある作品賞に選ばれたのは、黒人の天才ピアニストと粗野な白人用心棒が、人種差別が根強い1960年代のアメ…
『THE GUILTY/ギルティ』が問う、ワンシチュエーションの真価 観客の想像力を刺激する逸品に
暗闇のスクリーンに、男の横顔が映し出される。耳をつんざくコール音が突如として鳴り響くと、男は慣れたようにヘッドセットを装着する。…
ジョージ・クルーニー監督の作家性が光る いま語られるべき映画『サバービコン』のメッセージ
先日開催された、第91回アカデミー賞で、天才黒人ピアニストと粗野なイタリア系の白人用心棒の交流が描かれた『グリーンブック』が作品…
『ビール・ストリートの恋人たち』“理不尽への抵抗”がメロドラマを通した新鮮なタッチで描かれる
2016年公開の監督作『ムーンライト』で、第89回アカデミー賞作品賞の栄誉に輝いたバリー・ジェンキンス。彼の手がけるあらたなフィ…
『アリータ:バトル・エンジェル』なぜ世界的なヒットに? 原作を解釈し直した“愛の物語”
世界最大のヒットメイカーとして知られるジェームズ・キャメロン。彼は、世界興行収入歴代1位を記録した『アバター』の制作を開始する前…
佐藤健、“走りの俳優”としての本領発揮 『サムライマラソン』走り続けることの苦しみと喜び
ランナーひとりひとりが、それぞれの思惑を胸にゴールを目指すーー映画『サムライマラソン』は、走ること、そして走り続けることの苦しみ…
ホラー/スリラーのマエストロたちが集結! 『アンフレンデッド:ダークウェブ』の恐怖のアイデア
昨年公開された映画『クワイエット・プレイス 』の「音を立てたら、即死」が記憶に新しいように、「◯◯したら死ぬ」という設定やキャッ…
メディアミックスとして大成功? 『アリータ:バトル・エンジェル』の絶妙なバランス
実写化に限らず、メディアミックスは難しい。ゲームのアニメ化、漫画の小説化、映画の漫画化などなど、表現媒体を変え、なおかつ「原作」…
『クリード 炎の宿敵』に刻まれたドラゴ親子の30年 歪な構造が“奇跡”の作品に
『クリード 炎の宿敵』はこの十数年間で一番と言っても過言ではないぐらい号泣してしまった作品でした。正直、冷静に鑑賞できたという自…
『ジュリアン』全員が救われうる選択肢はあったのか? DV問題の告発にとどまらない重層的な語り
『ジュリアン』は、一見、DV問題の実態を告発するストレートな社会派映画です。 11歳の少年ジュリアンの両親は、父の暴力が理由…
チャゼル×ゴズリングが繋いだ“月とキッチン” 『ファースト・マン』深い悲しみと向き合う物語に
ジャズ・スタンダードとして知られる「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」がヒットしたのは1962年のこと。当時、ソ連と宇宙開発競争を…
菊地成孔の『天才作家の妻 40年目の真実』評:よく言うよね<愛すべき佳作><小品だが良品>でも、今時そんなモンあるのか?この作品以外で
もう、絵に描いたような「愛すべき小品」 この、昨今ではとんと見なくなった、絵に描いたような<愛すべき佳作><小品だが良品>で…