松江哲明の『アス』評

『アス』はアメリカ社会の暗部を映し出す 黒沢清に重なるジョーダン・ピールの作家性

映画監督にとって「2作目」は非常に難しいんです。特に1作目が高い評価を受けた場合、2作目によって、その作家の方向性や、真価が問わ…

松江哲明の『きみと、波にのれたら』評

湯浅政明×LDHが生んだアニメーション映画の新たな可能性 『きみと、波にのれたら』の革新性とは

私は『ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』や『クレヨンしんちゃん』の湯浅政明監督が手がけた躍動感溢れる映像が好きで、最初は「何な…

松江哲明の『町田くんの世界』評

『町田くんの世界』は古典作品のような味わいに 石井裕也監督が込めた現代人へのメッセージ

『川の底からこんにちは』『舟を編む』『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』など、石井裕也監督の作品にはモラルがあります。曲がっ…

松江哲明の『響け!ユーフォニアム』評

『響け!ユーフォニアム』が守る古典的な映画らしさと、ドラマツルギーをあえて外す挑戦的姿勢

『響け!ユーフォニアム』というシリーズについて全く知らなかったのですが、昨年『リズと青い鳥』を観に行きました。きっかけは京都アニ…

松江哲明の『ザ・バニシング』評

『ザ・バニシング-消失-』を作った監督がとにかく恐ろしい 思わず共感してしまう“普通”の犯人像

スタンリー・キューブリックが「すべての映画の中で最も恐ろしい」と語った1988年製作の映画『ザ・バニシング-消失-』が、初めて日…

松江哲明の『デイアンドナイト』評

阿部進之介×山田孝之の熱意が刻まれた1作 『デイアンドナイト』は善悪の“隙間”を描く

唯一無二の存在となった俳優・山田孝之が、俳優ではなく初めてプロデューサーとして手がけた作品が映画『デイアンドナイト』です。『山田…

松江哲明の『クリード 炎の宿敵』評

『クリード 炎の宿敵』に刻まれたドラゴ親子の30年 歪な構造が“奇跡”の作品に

『クリード 炎の宿敵』はこの十数年間で一番と言っても過言ではないぐらい号泣してしまった作品でした。正直、冷静に鑑賞できたという自…

松江哲明の『恐怖の報酬』評

“狂気”を孕んだウィリアム・フリードキンの傑作 松江哲明の『恐怖の報酬』評

『エクソシスト』『フレンチ・コネクション』を手がけた監督として知られれるウィリアム・フリードキンですが、自身の“最高傑作”と謳っ…

松江哲明の『止められるか、俺たちを』評

若松プロの映画である以上に青春映画 『止められるか、俺たちを』には自分を投影させる余白がある

結論から言ってしまえば、『止められるか、俺たちを』は僕の今年のベストワンです。“若松プロダクション”を舞台にした作品ということで…

松江哲明の『ザ・プレデター』評

シリーズの魅力を再確認! 懐かしさも漂わせる『ザ・プレデター』の“B級”映画らしさ

『プレデター』との出会いは、小学生の頃。プレデター=宇宙人ということは知らずに、「アーノルド・シュワルツェネッガーがジャングルで…

松江哲明の『菊とギロチン』評

瀬々敬久のフィルモグラフィは連続性が見えてくる 『菊とギロチン』の“伸びやかさ”と“お祭り感”

瀬々(敬久)監督はメジャーとインディペンデントを常に横断している、現在の日本映画界の中でも特殊な1人です。前編後編にわたる大作『…

松江哲明の『レディ・プレイヤー1』評

『レディ・プレイヤー1』はスピルバーグ監督の遺言のよう? 最後のメッセージに込められた“本音”

劇中の登場人物たちが仮想世界“オアシス”で躍動する姿を単純に楽しんだ一方で、“とんでもないもの”を観てしまったという感覚が鑑賞後…

『リズと青い鳥』が描く思春期のリアリティ

実写映画を超える思春期のリアル 『リズと青い鳥』に見る、京都アニメーション作品の映画的手法

『映画 聲の形』が公開された際、原作漫画があることも知らず、松岡茉優さんが声優を担当しているという情報だけで観に行きました。そし…

松江哲明の『トレイン・ミッション』評

T・スコットに通じるJ・コレット=セラの職人芸 『トレイン・ミッション』に学ぶ映画の作り方

「リーアム・ニーソン主演」「舞台は電車」このふたつのキーワードだけで、どんな話かある程度の想像はつくかと思います。ですが、本作は…

松江哲明の『ロング,ロングバケーション』評

松江哲明の『ロング,ロングバケーション』評:ただの“いい映画”ではない、風格と実験性

ヘレン・ミレンとドナルド・サザーランドの共演、爽やかなポスタービジュアル……最初に受け取った情報だけで、“いい映画”なのは間違い…

松江哲明の『IT イット』評

松江哲明の『IT/イット』評:配信ドラマ的手法で表現された今日的な“恐怖”

1990年のオリジナル版でティム・カリーが演じたペニーワイズは、それまで見たどんなピエロよりも怖くて、夢に出るぐらいのトラウマを…

松江哲明の『シンクロナイズ~』評

怪獣映画と人間ドラマを掛け合わせた秀逸な一作 松江哲明の『シンクロナイズドモンスター』評

ポスタービジュアルや怪獣が登場するという情報から、B級映画の匂いも放っていた本作ですが、観終わったときの印象はまるで違ったもので…

『スイス・アーミー・マン』著名人コメント

でんぱ組.inc相沢梨紗ら『スイス・アーミー・マン』にコメント 花くまゆうさくによるイラストも

9月22日に公開される映画『スイス・アーミー・マン』より、各界著名人からの応援コメントと、花くまゆうさく特製イラストが公開された…

松江哲明の『ハクソー・リッジ』評

松江哲明の『ハクソー・リッジ』評:人間が一線を超える瞬間を捉えた“戦争映画”

実在の人物であるデズモンド・ドスを主人公に据えた本作は、第2次世界大戦末期の沖縄戦を舞台としています。しかし、宣伝では沖縄が舞台…

松江哲明の『パトリオット・デイ』評

松江哲明の『パトリオット・デイ』評:実際のテロ事件をモデルにしながら、勧善懲悪に陥らない映画

今、世界で何が起きているのか。一流のエンタメ作品でありながら、それが俯瞰的に見えてくる作品でした。年末まで約半年ありますが、観終…

モルモット吉田の『映画 山田孝之3D』評

モルモット吉田の『映画 山田孝之3D』評:山下敦弘×松江哲明を飲み込む山田孝之のキャパシティ

記憶の糸をたどる行為は楽しい。深掘りしていくと、脳内奥深くのひだに隠れたぼんやりした風景が鮮明とまではいかなくとも、輪郭ぐらいは…

松江哲明の『イップ・マン 継承』評

松江哲明の『イップ・マン 継承』評:古き良きカンフー映画の魅力が詰まった、安心のシリーズ

本作でシリーズ3作目となる『イップ・マン』ですが、僕は今回の『イップ・マン 継承』(以下、3)が一番好きです。映画単体の完成度で…

松江哲明の『ワイルド・スピード』評

松江哲明の『ワイルド・スピード ICE BREAK』評:進化し続けるハリウッドの『ドラゴンボール』

『ワイルド・スピード』シリーズは第1作目からすべて劇場で観てきました。シリーズもので続いている作品の中では一番好きです。1作目を…

松江哲明の『哭声/コクソン』評

松江哲明の『哭声/コクソン』評:“映画のミステリー”を成立させたナ・ホンジン監督の手腕

最初に言っておきたいのは、これからこの映画を観ると決めている方はここから先は読まないでください! 絶対に予備知識ゼロの方が、この…