>  > 『7月の物語』が描く夏の“揺らぎ”

“冒険”を前にした女性たちの反応と関係性の変化 『7月の物語』が描く夏のまぶしいひととき

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 ほんのちょっとした言動がきっかけで、それまでに築き上げてきた関係性がぐらりと揺らぐことがある。誰しも身に覚えのあることだろう。ギョーム・ブラック監督の『7月の物語』(2017)は、第一部『日曜日の友だち』と第二部『ハンネと革命記念日』の短編2作からなる長編映画であり、夏のパリとその郊外を舞台に、そんな“揺らぎ”を瑞々しく映し出している。

 第一部『日曜日の友だち』では、ふたりの女の友情と、ひとりの男の登場によって入る亀裂が描かれるが、そこで展開されるのはありきたりな三角関係などではない。性質の違う女性それぞれの、対応の違いである。職場の同僚であるミレナとリュシーは、ひょんなことからレジャー施設へと出かけることに。そこでふたりは友情を育むものの、これがそう長続きはしないのだ。そう、ふたりの間に割って入る、施設の監視員の男の登場である。ジャンという名前の彼は、たびたびライトな職権乱用を繰り返してはナンパをしかけてくる、じつに厚かましい男なのだ。

 到着早々、立入禁止の場に足を踏み入れる女性たちの行動に、なにか冒険めいたものを期待させられるが、ふたりは監視員であるジャンにさっそく注意を受ける。しかし、職務をまっとうする生真面目な男かと思いきや、すぐさま彼は、そっとミレナの腰に手を当てるのだ。まばゆい夏の日差しとは対照的に、観ていて不安がつのってくる。この種の、いわゆるバカンス映画を撮ったエリック・ロメールや、ジャック・ロジエの一連の作品を思い起こさずにはいられないものの、まるで時代が違う。ジャンの行為は、相手と場合によっては即刻アウトだ。しかしミレナは彼の存在を好意的に受け止め、リュシーは蚊帳の外である。

 冒険を望む女と、そうでない女。思い返してみると映画の冒頭では、「マニキュア」に対するふたりの価値観の違いがさりげなく挿入されている。それはたんに趣味の話などではなくて、“どうやって自分という存在を表現(アピール)するか”という考え方の相違を示しているように思う。

      

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