作品評の記事一覧
公開中の話題作を中心に、幅広い作品を映画評論家・ライターが徹底レビュー。
『ヴェノム』はなぜ批評家と観客の間で評価の違いが生じたのか? 『ブラックパンサー』と比較検証
マーベル・コミックのスーパーヒーロー「スパイダーマン」の宿敵の一人である、生物の身体に乗り移るスーパーヴィラン(超人的悪役)「ヴ…
Hi-STANDARDの“すべて”が明かされる 初のドキュメンタリー映画が伝える、巨大な夢と愛の核心
Hi-STANDARDというバンドは多くの人たちにとって特別な存在である。彼らの長年に渡る絶大な人気、彼らが成し遂げてきた数々の…
『ここは退屈迎えに来て』橋本愛と門脇麦が演じる、“人々の関わり”の物語
「何者かになりたい」という漠然とした希望や、「ずっと高校生のままでいたい」という少し甘えた願望、そんな想いを胸に秘めながら、恐ら…
なぜ人は危険を冒してまで「報じる」必要があるのか 『タクシー運転手』が大きな反響を呼んだ理由
近年のソン・ガンホというと、現代劇においては普通の市民を演じているイメージがあまりなかった。どこの国の俳優でもそうだが、年齢を重…
ジャクソンハイツは楽園ではない フレデリック・ワイズマンが浮き彫りにした世界を考えるヒント
様々な民族の人々が共存し、「人種のるつぼ」とも言われるニューヨーク。なかでも、もっとも多民族が集まり、167もの言語が飛び交うと…
ディズニースター版『glee』? 『ステータス・アップデート』はSNS時代のスクールカースト物語
新時代の『glee』 「スクールカーストのトップに速攻で立った僕 でも数週間前まで君たちと同じだった ステータスを更新…
サリンジャー作品の登場人物のようで愛おしい 『マイ・プレシャス・リスト』世界の美しさと醜さ
映画『マイ・プレシャス・リスト』は、あまりに頭脳明晰なため、14歳にして飛び級でハーバード大へ入学した女の子、キャリーを描いた物…
二分された“東京”と“地方”は何を意味する? 『ここは退屈迎えに来て』が描く人々の心の事情
地方都市近郊の国道によく見られる、広い道路とその両側にチェーン店が並ぶ風景。地方で生活する多くの人々が日々目にしているが、この眺…
主人公の姿には私たちの“自画像”が映し出されている 荻野洋一の『世界で一番ゴッホを描いた男』評
このドキュメンタリー映画の主人公・趙小勇は、世界で一番たくさんゴッホの絵を描いてきたのに、いまだ本物を見たことがないのだと言う。…
賛否分かれる反応が拡散!? 阿部サダヲ×吉岡里帆『音量を上げろタコ!』は “沼感”を楽しみたい!
ロマンスとは、大昔のローマ人が大好きだった空想物語や通俗小説のことを元々は指していたそうです。大昔のローマではラテン語が公用語で…
小川紗良の『バッド・ジーニアス』評:映画全体が“カンニング”のように緻密に計算されている
”making it happen”=「実現する」。少女の背中に書かれたその言葉は、希望か、それとも絶望の始まりか。映画『バッド…
イーライ・ロス監督のパーソナリティとも合致 『ルイスと不思議の時計』のメッセージ
児童文学『壁のなかの時計』を原作に、魔法と、愉快な魔術師の伯父さんに出会う孤独な少年の物語を描いた映画『ルイスと不思議の時計』。…
新たな発見を与えてくれる役割に 『ムタフカズ』が照らし出すアニメーション業界の現状
セーラー服の女子学生が空を飛翔するわけでなく、四季の移ろいとともに若者の恋愛を丹念に描いていくわけでもなく、さらには巨大ロボット…
アジアの超富裕層の光と影? 『クレイジー・リッチ!』2つの“格差恋愛”が伝えるもの
2013年に発表されたベストセラー小説『クレイジー・リッチ・アジアンズ』は、東南アジアでエリート層を形成する“海峡華人”と呼ばれ…
視覚障害をメタファーにしたビターなラブストーリー 『かごの中の瞳』は“女性の欲望の解放”を描く
セクハラ告発に端を発した#Metooムーブメント以降、ではロマンスやエロスの問題をどう扱うかという議論があとを絶たない。つまり、…
シリーズの魅力を再確認! 懐かしさも漂わせる『ザ・プレデター』の“B級”映画らしさ
『プレデター』との出会いは、小学生の頃。プレデター=宇宙人ということは知らずに、「アーノルド・シュワルツェネッガーがジャングルで…
宮台真司の『寝ても覚めても』評:意味論的にも視覚論的にも決定的な難点がある
キスと性交を描かない(描けない)真の理由 『寝ても覚めても』の物語は単純です。主人公朝子が、1.激しい恋に落ちた麦(ばく)に…
ラップはすべてスマホのスピーカーから鳴っていた 磯部涼が『フロリダ・プロジェクト』を解説
『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』で使われるたくさんのラップ・ミュージックは、すべてスマートフォンのスピーカーから鳴っていた…
古い価値観を感じさせるも映画の作られ方は“現代的” 『スカイスクレイパー』の作品構造を読み解く
「ロック様」ことドウェイン・ジョンソンが演じる、筋肉ムキムキの一家のパパが、家族を救うために超高層ビルで決死の戦いを繰り広げる映…
まるでスポーツの団体戦! 『バッド・ジーニアス』の後ろめたくも清々しい映画体験
この、えもいわれぬ緊張感に息苦しさを感じた方は、なにかしら後ろめたい気持ちがあるのではないのだろうか(……いや、疑うわけではない…
『食べる女』で女性たちを取り巻く“食”と“性” 沢尻エリカ、前田敦子らの“食べる”から読み解く
年齢も、職業も、恋愛に対する考え方も、人生における価値観も異なる8人の女たちが、おいしいものを心置きなく、好きなだけ食べる。“女…
『クレイジー・リッチ!』が米映画史に起こした革新 “アジア”を巡る2人の女性の物語を読み解く
『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』、『ブラックパンサー』、 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』、『クレイジー・…
“夫婦アクション”の新たな快作! 夫婦関係をカッコよく描いた『スカイスクレイパー』の新しさ
香港に作られた高さ1kmの巨大タワー“ザ・パール”。ビルの安全管理コンサルタントを務めるウィル(ロック様ことドウェイン・ジョンソ…
『ザ・プレデター』なぜ評価が分かれる内容に? 『プレデター』シリーズの“核”となる部分から考察
ジャンル映画、なかでもホラーやスリラー、SF、アクションなどの作品に求められがちなのは、“目新しさ”であろう。それらのジャンルが…
捉え方で評価が変わる? 『ザ・プレデター』は「ドン詰まりの男子のバカ騒ぎ映画」として満点!
『ザ・プレデター』(18年)上映終了後、左右に座るカップルが絵に描いたように真反対の反応を示した。右は絶賛の言葉と共に笑い合い、…
TEAM NACSの真髄がここに! 『PARAMUSHIR ~信じ続けた士魂の旗を掲げて』に込められた夢
「PARAMUSHIR」。一読しただけでは何と読んでいいのかわからない。このタイトルにこそ、原案・演出を担当した森崎博之の想いが…
平手友梨奈主演『響 -HIBIKI-』の漫画的な手法 “天才”を描く試みをどうアプローチしたか
頭脳的な“天才”を創作物のなかで描く。考えてみれば、これはとても難しいことだ。なぜなら、天才でなければ天才がどういうものであるか…
アニエス・ヴァルダ『顔たち、ところどころ』から読み解く、「ヌーヴェル・ヴァーグの祖母」の教え
今年で90歳を迎えたアニエス・ヴァルダ。ヌーヴァル・ヴァーグを支えた数少ない女性監督のヴァルダは、最近では「ヌーヴェル・ヴァーグ…