作品評の記事一覧
公開中の話題作を中心に、幅広い作品を映画評論家・ライターが徹底レビュー。
『ボーダー 二つの世界』と『ジョーカー』の共通項とは アウトサイダーを描く作品が映し出す現実
暴動が起きようとしている。トッド・フィリップスの『ジョーカー』はそんな現代の空気をふんだんに吸収した映画であり、ベネチア国際映画…
『ジョーカー』が際立った作品に仕上がった3つの理由 一見シンプルだが考えれば考えるほど複雑に
『ジョーカー』(2019年)は至ってシンプルな映画に見えて、考えれば考えるほど複雑になっていく。 精神に問題を抱えている中年…
戸次重幸の術中にハマること間違いなし! 『MONSTER MATES』が描く“人間のリアル”
ヴァンパイアにフランケンシュタイン。古くから語り継がれる伝説の中には、多数のモンスターたちが存在している。けれど、本当に「化け物…
『SAO』の設定を引き継ぎ『君の名は。』に接近 『HELLO WORLD』でなされた意義深い試み
“高校生の恋愛”要素とSF要素を組み合わせた劇場アニメーション作品が、近年多くなってきている。言うまでもなく、これは『君の名は。…
三谷幸喜は意図しなかった!? 『記憶にございません!』寓話だからこそ生まれてしまう現実との比較
三谷幸喜の最新映画『記憶にございません!』が好調だ。9月13日に公開されて以降、三週連続で興行収入ランキング一位を獲得している。…
『アド・アストラ』は“文系SF”と呼べる作品に 破滅的ヴィジョンと一筋の救いを同時に描く
「星へ」の意味を持つラテン語をタイトルに、ブラッド・ピットが製作と主演を務めた『アド・アストラ』は、地球より太陽系の端まで直線的…
弁護士ドラマの前提揺るがす!? 『グッド・ファイト』が描く「トランプ時代」との闘い
これまで数々の傑作を生み出してきたアメリカのテレビシリーズの伝統の一つ、「ロー・ファーム(弁護士事務所)もの」ドラマにおいて、現…
ジョニー・トーの傑作を野心的リメイク! 狂人続出の『毒戦 BELIEVER』は男2人の「情」の物語
今すぐ頭を強打して記憶を失いたい……! こんな気持ちになる日が来ようとは。『毒戦 BELIEVER』(2018年)は韓国ノワール…
『グリーンブック』は“人種差別”だけを描いた映画だったのか? その先にあったテーマを考える
雨の道を走る車の中で、中年男2人の口論が始まった。その果てに、ハンドルを握るトニーに「(あんたと違って)俺は自分が誰か分かってる…
『アス』はアメリカ社会の暗部を映し出す 黒沢清に重なるジョーダン・ピールの作家性
映画監督にとって「2作目」は非常に難しいんです。特に1作目が高い評価を受けた場合、2作目によって、その作家の方向性や、真価が問わ…
伊藤健太郎×玉城ティナ『惡の華』は誰もが共感できる“青春映画”に 浮かび上がる名作との共通項
「あの頃、こんなことを考えていたな……」と、懐かしく中学時代や高校時代をふと振り返るとき、恥ずかしさや切なさなどが混ぜこぜになっ…
マックス・チャンがMVP!? 『大脱出3』から感じるシルヴェスター・スタローンら作り手たちの意地
我らがスタローンの最新作が見参! 衝撃の『大脱出3』(2019年)である。自ら監獄に囚人として潜入・脱獄してしまうことで、逆に刑…
『エイス・グレード』はSNS時代の『ライ麦畑でつかまえて』? 作品に宿る普遍的なメッセージとは
作品の送り手はピッチャーであり、受け手はバッターであるという比喩がある。社会に向けて作品を送り出す作家は球種を選び、コースを狙い…
『帰れない二人』ジャ・ジャンクー監督のこれまでを辿る冒険に 背景に描かれる中国の変化とは
帰れない二人、という文字列を見るとどうしても、井上陽水と忌野清志郎の名曲を想起してしまい、それと同時に相米慎二監督の名作『東京上…
『アス』は地球最大の革命についての映画だ ジョーダン・ピール監督から観客への“死刑宣告”
『ブラックパンサー』(2018)が生まれたすぐ後に『アス』のような新種の映画が生まれてくるのは、現代映画の歴史的必然だといえる。…
唯一の「京アニ大賞」受賞作、小説『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』に宿る“言葉の力”
玲瓏(れいろう)という言葉がある。小説『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の主人公ヴァイオレットの声を描写する言葉として繰り返し…
細かいことは気にするな! アクションスターたちを対決させた『トリプル・スレット』の意義
スコット・アドキンス、マイケル・ジェイ・ホワイト、ジージャー・ヤーニンらが率いる凄い極悪人が悪いことをしている! イコ・ウワイス…
『劇場版おっさんずラブ』はドラマの“優しい世界”がそのままに 再び歩き出した春田と牧たち
王子様によって、シンデレラの足にガラスの靴が戻りました。シンデレラは王子様と幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし。 まさ…
「Your Song」誕生シーンが頂点に 『ロケットマン』に見る、エルトン・ジョンの性質と美徳
ピアノと奇抜な衣装をトレードマークに、グラミー賞を5度受賞、7枚連続でビルボード1位を獲得した記録を持つ世紀のヒットメイカーにし…
キアヌ・リーブス主演の“当たり”映画に 『ブルー・ダイヤモンド』に込められた作り手の信念
『ビルとテッド』シリーズのようなコメディから、『マイ・プライベート・アイダホ』(1991年)のような青春映画、『ハートブルー』(…
『ロケットマン』は観客に体験させる映画!? “フィクション”と“映画”ならではの面白さ
イギリスのそれなりに複雑な家庭で暮らす少年は、5歳にして圧倒的なピアノの才能を自覚する。少年は“神童”として音楽の英才教育を受け…
テーマは重いが、後味は爽快 『ブラインドスポッティング』の新しさ
『ブラインドスポッティング』はオークランド映画である。オークランドはカリフォルニア州のベイエリア、サンフランシスコからベイブリッ…
『ライオン・キング』は“いま観られるべき映画”なのか 映像表現は革新的だが、価値観は後退!?
『リトル・マーメイド』(1989年)から始まった、ディズニー第二次黄金期と呼ばれる、劇場アニメーションの作品群が製作されていた時…
短所が長所で、長所が短所に!? 『ライオン・キング』“2次元の3次元化”への試行錯誤を読む
『ライオン・キング』(2019年)は野心的で実験的な映画だ。2次元をいかにして3次元にするか? この課題に挑み、失敗と成功の両方…
求め合う柄本佑と瀧内公美の姿が美しい 『火口のふたり』が描く、根源的な人間の生き方のかたち
東日本大震災後、人間の生き方を見つめ直して書かれたという、直木賞作家・白石一文の同名小説を、荒井晴彦が監督、脚本を務め映画化した…
『ワイスピ』シリーズに“新たな広い視野”!? 『スーパーコンボ』に引き継がれた最も大きな価値観
次々に続編が製作され、大作化を果たしてきた『ワイルド・スピード』シリーズ。大ヒットを記録するたびに、主役を張れるようなスター俳優…