作品評の記事一覧
公開中の話題作を中心に、幅広い作品を映画評論家・ライターが徹底レビュー。
『エイス・グレード』はSNS時代の『ライ麦畑でつかまえて』? 作品に宿る普遍的なメッセージとは
作品の送り手はピッチャーであり、受け手はバッターであるという比喩がある。社会に向けて作品を送り出す作家は球種を選び、コースを狙い…
『帰れない二人』ジャ・ジャンクー監督のこれまでを辿る冒険に 背景に描かれる中国の変化とは
帰れない二人、という文字列を見るとどうしても、井上陽水と忌野清志郎の名曲を想起してしまい、それと同時に相米慎二監督の名作『東京上…
『アス』は地球最大の革命についての映画だ ジョーダン・ピール監督から観客への“死刑宣告”
『ブラックパンサー』(2018)が生まれたすぐ後に『アス』のような新種の映画が生まれてくるのは、現代映画の歴史的必然だといえる。…
唯一の「京アニ大賞」受賞作、小説『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』に宿る“言葉の力”
玲瓏(れいろう)という言葉がある。小説『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の主人公ヴァイオレットの声を描写する言葉として繰り返し…
細かいことは気にするな! アクションスターたちを対決させた『トリプル・スレット』の意義
スコット・アドキンス、マイケル・ジェイ・ホワイト、ジージャー・ヤーニンらが率いる凄い極悪人が悪いことをしている! イコ・ウワイス…
『劇場版おっさんずラブ』はドラマの“優しい世界”がそのままに 再び歩き出した春田と牧たち
王子様によって、シンデレラの足にガラスの靴が戻りました。シンデレラは王子様と幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし。 まさ…
「Your Song」誕生シーンが頂点に 『ロケットマン』に見る、エルトン・ジョンの性質と美徳
ピアノと奇抜な衣装をトレードマークに、グラミー賞を5度受賞、7枚連続でビルボード1位を獲得した記録を持つ世紀のヒットメイカーにし…
キアヌ・リーブス主演の“当たり”映画に 『ブルー・ダイヤモンド』に込められた作り手の信念
『ビルとテッド』シリーズのようなコメディから、『マイ・プライベート・アイダホ』(1991年)のような青春映画、『ハートブルー』(…
『ロケットマン』は観客に体験させる映画!? “フィクション”と“映画”ならではの面白さ
イギリスのそれなりに複雑な家庭で暮らす少年は、5歳にして圧倒的なピアノの才能を自覚する。少年は“神童”として音楽の英才教育を受け…
テーマは重いが、後味は爽快 『ブラインドスポッティング』の新しさ
『ブラインドスポッティング』はオークランド映画である。オークランドはカリフォルニア州のベイエリア、サンフランシスコからベイブリッ…
『ライオン・キング』は“いま観られるべき映画”なのか 映像表現は革新的だが、価値観は後退!?
『リトル・マーメイド』(1989年)から始まった、ディズニー第二次黄金期と呼ばれる、劇場アニメーションの作品群が製作されていた時…
短所が長所で、長所が短所に!? 『ライオン・キング』“2次元の3次元化”への試行錯誤を読む
『ライオン・キング』(2019年)は野心的で実験的な映画だ。2次元をいかにして3次元にするか? この課題に挑み、失敗と成功の両方…
求め合う柄本佑と瀧内公美の姿が美しい 『火口のふたり』が描く、根源的な人間の生き方のかたち
東日本大震災後、人間の生き方を見つめ直して書かれたという、直木賞作家・白石一文の同名小説を、荒井晴彦が監督、脚本を務め映画化した…
『ワイスピ』シリーズに“新たな広い視野”!? 『スーパーコンボ』に引き継がれた最も大きな価値観
次々に続編が製作され、大作化を果たしてきた『ワイルド・スピード』シリーズ。大ヒットを記録するたびに、主役を張れるようなスター俳優…
菅田将暉の涙の熱演が訴えるメッセージ 『アルキメデスの大戦』“戦艦大和”のロマンと矛盾を描く
菅田将暉にとっては、『生きてるだけで、愛。』以来の出演作、主演となると『となりの怪物くん』(土屋太鳳とダブル主演)以来、実に約1…
『天気の子』から“人間性のゆくえ”を考える ポストヒューマン的世界観が意味するもの
ポストヒューマンから読み解く『天気の子』の可能性 新海誠の監督第7作となる最新作『天気の子』が7月19日に、いよいよ公開され…
『天気の子』が映すエンターテインメント産業の功罪 新海誠監督が選択したラストの意図を考える
※本記事は『天気の子』のネタバレを含みます。 無学なりに本を読んでいると「ハレとケ」という民俗学の言葉にしばしば出会う。柳田…
菊地成孔の『アベンジャーズ/エンドゲーム』『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』評: <第二経済>としての<キャラクターの交換>を前に我々ができることは、<損得>だけである
<第二経済>は 正規の経済用語であるわけがない。勿論、仮想通貨の話でもない。今や市場経済ー生活経済ー第一経済ー現実経済に並行…
松田翔太が醸し出す狂気 『東京喰種【S】』原作を狭く深く掘り下げることで際立つ月山の魅力
昨今、レベルが上がってきている漫画実写化映画。『東京喰種 トーキョーグール【S】』もそのことを感じさせる1作だった。 前作…
“天気の子”と“転機の子”が出会うーー『天気の子』に描かれる自分たちだけの「セカイ」
『君の名は。』の公開から早3年。新海誠監督が巻き起こした社会現象は、いまだに続いている。その余韻があちこちに感じられるなか封切ら…
『君の名は。』との共通点と相違点から、新海誠監督最新作『天気の子』の本質を探る
2016年に社会現象といえる、思いがけない特大ヒットを記録した劇場アニメーションが公開された。新海誠監督の劇場長編作品『君の名は…
『チャイルド・プレイ』は現代のホラー映画として見事な出来! 作り手がクリアしたリブートの課題
いろいろと問題を抱える少年アンディ(ガブリエル・ベイトマン)は、生活に疲れ切ったお母さんカレン(オーブリー・プラザ)から、せめて…
『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』が浮き彫りにした“リメイクの難しさ” 他アニメ作品と共に考察
『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』が7月12日に公開された。リメイク元である『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』…
『トイ・ストーリー4』なぜファンが戸惑う内容になったのか? 作り手のメッセージから読み解く
『トイ・ストーリー』第1作(1995年)は、ピクサー・アニメーション・スタジオの最初の長編作品であると同時に、世界初の長編フルC…
奇跡のキャスティングと映像美が紡ぐ 唯一無二の身体の物語『Girl/ガール』の繊細な表現
黄金色の光のなかで、微睡む少女が目を覚ます。この少女ララ(ビクトール・ポルスター)は男性の性別を与えられて生まれたが、心は女性で…
『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』今再び蘇る理由とは ミュウツーが体現する現代社会の暗部
“HEY! そこのボーイ!……ポケモンバトル、できるかなァ?” およそ21年ぶりに、劇場内に響き渡ったセリフである。現在も放…
人生なんて88分もあればじゅうぶんだーー『COLD WAR あの歌、2つの心』が描く愛と絶望
わずか88分の上映時間のうちに、悠遠たる人生の有為転変が、まるごと入っている。私たちは決して長くはない時間を劇場の暗闇で過ごし、…







































