作品評の記事一覧
公開中の話題作を中心に、幅広い作品を映画評論家・ライターが徹底レビュー。
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』なぜ圧倒的な美しさを獲得できた? 作品のメッセージを考察
史上空前の美しさを持つゴジラ映画 青白く輝く光の柱が暗雲を貫き、雷撃が中空を駆け抜ける。哀れで無力な人間たちは、巨大な生…
『ガーデンアパート』が鳴らす現代への警鐘 若者たちが一夜の冒険の先に見出すものとは
「愛は映画みたいなもので、政治みたいなもので、料理みたいなもので、庭みたいなものだ」という、作り手が奏でるポエムを主人公が語るこ…
凶悪かつ滑稽に描かれる暴力と死 『スノー・ロワイヤル』は観客がツッコミ役を担う“参加型映画”に
雪に覆われたコロラド州の田舎町キーホー。この田舎町が雪で孤立しないように「道」を守るのが、ネルズ・コックスマン(リーアム・ニーソ…
すべての音楽好きにオススメ! 『ハーツ・ビート・ラウド』が「フィールグッド」な映画である理由
舞台は2000年代インディーロックの中心地、ニューヨークのブルックリン。主人公はかつてプロのミュージシャンとして活動し、現在は街…
ゴジラへの暴走気味の想いが短所であり長所にも 『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の美学
ゴジラ、ラドン、モスラ、キングギドラが世界中をブッ壊しながら戦う。シンプルなお祭り映画なのに、『ゴジラ キング・オブ・モンスター…
『暁に祈れ』地獄の中にしか生まれ得ない生の美しさーー充実の特典映像でその魅力は倍増に
仏教のシンボル、蓮は泥水の中でしかその美しい花を咲かさない。仏教の「蓮華の五徳」の教えの1つに「淤泥不染の徳(おでいふぜんのとく…
『貞子』は楽しく怖がることができるジャンル映画に “ポップ化”以降の貞子の存在を検証
鈴木光司の小説を原作に、次々と人間が殺されていく呪いのおそろしさを巧みな演出で描き、話題を呼んだ映画『リング』(1998年)、そ…
PFFグランプリ『オーファンズ・ブルース』が描く“永遠の夏” 青春の道の先に待つものとは
「宇宙は細くなってく」――。路上で古本を売りながら海沿いの町に暮らすエマ(村上由規乃)は記憶に問題を抱えており、彼女の住む部屋の…
“他人事”である恋愛劇をスペクタキュラーなものに 『台北セブンラブ』が描く“七つの愛のかたち”
「恋は盲目」とはよく言ったものだが、それはその「恋」とは少し離れたところに視座を置いた場合にかぎって、言えることなのではないだろ…
86歳のRBGが現代のポップアイコンになった理由 ギンズバーグ夫妻に学ぶ、新しい時代の男女の姿
アメリカ最高裁判所判事をつとめる86歳の女性、ルース・ベイダー・ギンズバーグ(以下RBG)が注目を集めている。日本では2019年…
#MeToo時代の今語られるにふさわしいテーマ 『コレット』は一人の女性の自立を描く
女性がものを書くとき、そこにはいつも闘いがあったことを私たちはすでに知っている。女性作家ものの映画が次々に公開され、もはや一つの…
King & Prince 永瀬廉&神宮寺勇太、『うちの執事が言うことには』で見せた絶妙な掛け合い
5月17日より、King & Prince・永瀬廉初主演の映画『うちの執事が言うことには』が公開された。原作は高里椎奈に…
『名探偵ピカチュウ』のピカチュウは実写映画における映画スター! その“かわいさ”が意味するもの
「かわいい! ピカチュウかわいい!」の声が、鑑賞した人々から聞こえてくる。映画作品における一つのキャラクターが、ここまで広く賞賛…
『名探偵ピカチュウ』最大のキモは完璧に実写化されたポケモンたち 1種ごとに異なったアプローチ
So Cute……。そう一言だけ書いて記事を終えたい。それくらい『名探偵ピカチュウ』(2019年)に登場するポケモンは可愛い。俗…
【ネタバレあり】『名探偵コナン 紺青の拳』“基本キャラ設定の封印”で見えること 作り手の狙いとは
昨年の『ゼロの執行人』の際に、「ほとんど“何でもあり”に近いものをやるために、それ以外の部分を締めすぎるほど締めるという生真面目…
【ネタバレあり】『アベンジャーズ/エンドゲーム』MCU牽引してきた二大巨頭の“ヒーロー”としての歩み
※本記事は『アベンジャーズ/エンドゲーム』及び過去MCU作品のネタバレを含みます。 性格も強さもバラバラなヒーローたち マ…
“たった一度の情事”が愛し合う恋人たちを破滅に至らせる 『追想』音楽が担う重要な役割
愛し合う恋人たちを破滅に至らせるもの。それは、打ち克つことのできなかった甘い誘惑の時もあれば、和解しがたい軋轢の時もあるだろう。…
森直人の『ROMA/ローマ』評:キュアロンの壮大かつ正統な“自主映画”から考える映画の「現在」
いくらハイクオリティの傑作でも、劇場のスクリーンで上映されない作品を映画と呼んでいいのか否か? ここ2~3年で一気にせり上が…
【ネタバレあり】『アベンジャーズ/エンドゲーム』が描いた正義のあり方を考察
足かけ約11年、21作品の歴史を築いてきた、マーベル・スタジオのヒーロー映画。1年に2本ほどのペースで、ここまでの予算規模の大作…
いたずら好きの小妖精に誘われてーー『イメージの本』の観客は“森”の中で前後不覚となる
フランスの女性映画作家アニエス・ヴァルダがこの3月29日、癌のためパリの自宅で息を引き取った。90歳だった。昨年公開された彼女の…
『響け!ユーフォニアム』が守る古典的な映画らしさと、ドラマツルギーをあえて外す挑戦的姿勢
『響け!ユーフォニアム』というシリーズについて全く知らなかったのですが、昨年『リズと青い鳥』を観に行きました。きっかけは京都アニ…
『アベンジャーズ/エンドゲーム』は胸を張れる超大作に “ヒーローも人”というMCUのスタンス
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)を遂に観た。公式から散々にネタバレへの注意喚起があって、正直そこまで注意することか…
『シャザム!』はジュブナイル物の魅力が満載! 今後のDC映画づくりに与えたヒントとは
『シャザム!』はバットマンやスーパーマンと同じDCコミックのヒーロー。いわゆるアメコミ・ヒーロー物ですが、DCの他のヒーロー、い…
“あるがまま”を見つめる無垢な瞳ーー『幸福なラザロ』が訴えかえる“幸福”とはなにか?
「幸福」とは、いったいなんなのだろうか。果たして何をもってして、そう呼ぶのだろう。 前作『夏をゆく人々』(2014)が、カン…
『アベンジャーズ/エンドゲーム』最大のテーマとは 杉山すぴ豊が語る、MCUだから描けたもの
『アベンジャーズ/エンドゲーム』の予告編を観た時からずっと気になっていたことがありました。アクション映画なのに派手な戦闘シーンの…
『アベンジャーズ/エンドゲーム』は素晴らしい完結編 11年を詰め込んだ卒アルのような作品に
鑑賞前は緊張して食欲が湧かないし、観終わった後は、泣きすぎが原因の頭痛を起こした。その上、何の因果関係があるのか不明だが、お腹ま…
福島県白河市から全国の映画館へ 夢破れた男の濃密な人間ドラマ『ライズ ダルライザー』がアツい!
福島県白河市には、長らく映画館がなかったという。大型のシネコンが流行し、「街の映画館」が消えていく時代。白河市もその例外ではなか…
ノルウェーで大ヒット 『THE QUAKE/ザ・クエイク』が描く、災害に直面した家族の絆と社会問題
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018年)の冒頭で強烈な印象を残し、『レヴェナント:蘇えりし者』(2015年)…
『シャザム!』は笑いあり涙ありのホームドラマに その魅力はスケールの小ささにあり!?
結論から書くと『シャザム!』(2019)は非常に丁寧に作られたファミリー映画である。基本はコメディタッチだが、1人の傷ついた少年…
『シャザム!』なぜ心震わせる作品に? 人間ドラマによって生み出される真のヒーロー像
まさにヒーロー映画全盛といえる昨今、とんでもない悪ふざけをするヒーローが登場した。筋肉ムキムキの大人の男でスーパーパワーの持ち主…