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『ホットギミック ガールミーツボーイ』徹底解説! 山戸結希監督が確立させた“新しい映画表現”

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 相原実貴原作の少女漫画を基に、映画初出演、初主演となる、アイドルグループ「乃木坂46」の堀未央奈を主演に迎え、現代の少女たちのリアルな感情や、甘く苦い恋愛模様を描いた映画、『ホットギミック ガールミーツボーイ』。

 このような簡単な概要からすぐに頭の中で想像する内容とは、まったく印象が異なるのが本作だ。日本で数多く作られている恋愛映画とも、海外の恋愛映画とも違った輝きを放つ、誰も見たことがない種類の映画だと感じられるのだ。いったい、これは何なのか?

 ここでは、それだけに一見すると難解だと感じてしまうかもしれない『ホットギミック ガールミーツボーイ』が、何を描いていたのかを、物語や演出を例にとってじっくりと解説していきたい。

リアルに映し出された少女漫画世界

 堀未央奈が演じる主人公、成田初(なりた・はつみ)は、大人しい印象の純真で可憐なタイプで、一部の女子からは「女子から嫌われる女子」と言われたり、嫉妬から陰口を叩かれることもある高校2年生。その一方で、街で配布されているポケットティッシュを次々に受け取っては持て余してしまうところが象徴しているように、自分の意志を貫くことが苦手で、騙されやすくもある。そして、そんな初に想いを寄せるのが、3人のイケメン男子だ。

 一人目は清水尋也が演じる、難関高校の中でも常に成績トップに立つ秀才、橘亮輝(たちばな・りょうき)。メガネがトレードマークのクールなキャラで、男子も憧れるカリスマ性を持っている。

 二人目は板垣瑞生演じる、学生でありながらモデルとしても活躍する、同級生で幼なじみの小田切梓(おだぎり・あずさ)。鮮やかなオレンジの髪色が特徴の、女性モデルたちからも熱視線を浴びる規格外の男子高校生。

 三人目が、間宮祥太朗演じる、兄・成田凌(なりた・しのぐ)。初の兄妹としてともに育ってきた存在だが、じつは大きな秘密を抱えている役どころ。「そのままでいいよ」と包容力を見せる、優しい年上男子。

 こんなにイケメンにモテモテで、さぞや幸せな境遇だろうと思ってしまうが、じつはそんなこともないというのが、本作の恐ろしいところだ。

 亮輝は、あることをネタに初を脅し、自らの奴隷になることを強要しながら「俺にキスしなさい」と迫るし、梓は、思わせぶりなセリフでむやみに初の心をかき乱したり、何かを企んでいるような雰囲気を見せる。そして凌は、優しくはあるものの、腫れ物のように初を扱い過ぎて、その態度は過保護と感じられるほどだ。彼らの性格が明らかになっていき、それぞれの本音、背景が見えてくることによって、3人のキャラクターや言動から危うさが漂ってくる。

 だが、これは異常なように見えて、むしろ現実的だといえないだろうか。少女漫画には、理想化された誠実な“王子様キャラ”が登場することがあるが、それはある意味で、男の子向け漫画に出てくる、“男にとって都合の良い女性キャラ”の裏返しのような存在だといえる。男子にしろ女子にしろ、現実の恋人というのは、様々な欠点があるのが普通だ。初がそうであるように、まだ学生である彼らも、人間的にはまだまだ未熟で改善の余地が大きい。本作に描かれる男子の姿は、より現実の存在に近い、女子たちにとって不完全な恋愛対象なのだ。

 本作は、理想の世界とは異なる現実に打ちのめされ悩んでいる女の子の気持ちに寄り添う。そして、そんな世界の裏切りを認めたうえで、そこからどうすればいいのかというのが、本作が描く“リアル”なのである。

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