山下智久のポジションは“憧れ”から“仲間”へ 『劇場版コード・ブルー』絆によって手に入れた“強さ”

『コード・ブルー』山下智久の変化

 『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(以下、『劇場版コード・ブルー』)が、公開から24日間で累計観客動員538万人、興行収入69億円を突破。今月17日からはアトラクション型シアターMX4D・4DXでの上映もスタートしており、ますます注目度を高めている。今作の舞台は、2017年にフジテレビ系で放送されていた同3rd seasonから3カ月後。レジデントとしてトロント大へ渡ることになった藍沢耕作(山下智久)が、一時帰国している間のエピソードが描かれている。

 『コード・ブルー』シリーズの放送開始は、2008年7月。当初の藍沢は、初めてドクターヘリで駆けつけた事故現場で行った腕の切断を「楽しかった」と言い放ち、「ここでワンミッションでも多くヘリに乗って、たくさんの症例をこなす。そして誰よりも早く、俺は名医になる」と、生き急ぐように技術を身につけようとしていた。

 その理由は、藍沢の育て親である祖母・絹江(島かおり)が救急搬送されてきたことを機に、少しずつ明らかになっていく。幼い頃に母親は他界し、父親は失踪。2nd seasonでは、両親がいないことを自分のせいだと感じ、「僕はいい子?」を口癖に幼少期を過ごしてきたことが明かされる。そして彼は “自分が優秀でなければ必要とされない”と思い込み、必死で勉強して奨学金で医学部に進学。そうして生まれたのが、孤高の医師・藍沢耕作だった。

 その後、母親の死は自殺が原因であることが判明。突如姿を現した父・誠次(リリー・ フランキー)との不和もあったが、「この(器用な)手だけはあなたに似たのだと思います」と恨み続けてきた父親、そして自分自身の過去を受け入れる。どんな状況であれ、自分のことを一番に考えて育ててくれた祖母への感謝の念、そして、時を経て救命チームとの関係を深めていった藍沢は、1st seasonと比べ人間らしさに満ちていくのだった。

 だが、そんな“人間くささ”は時に外科医にとって邪魔になる。事実、3rd seasonで天才ピアニスト・天野奏(田鍋梨々花)の後遺症に思い悩む姿は、患者に感情移入しない過去の藍沢であればあり得ないことだった。そんなウジウジとした藍沢には違和感すら覚えたが、第9話で白石(新垣結衣)が「藍沢先生ってそんなだった? 9年前のあなたは違った。誰よりもいい医者になる、そのためなら周りとの摩擦も厭わない。そこに私たちは憧れた」と、救命チームのみならず、視聴者の思いをも代弁。その言葉に藍沢はトロント大行きを決意し、再び前を向くことになる。

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