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“青春”は大人だけが持つ宝物だ 『高崎グラフィティ。』が描く“あの頃”の本当の姿

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 第1回「未完成映画予告編大賞」でグランプリを受賞した予告編をもとに長編化された作品、『高崎グラフィティ。』が現在公開中だ。本作は群馬県・高崎市を舞台に、高校を卒業し新生活を控える5人の男女を描いた青春群像劇。メガホンを取った川島直人監督にとっては長編映画デビュー作となる。

 高崎で高校を卒業した男女5人が、それぞれ鬱屈した感情を抱えながら、この先の生活を想像し足掻きもがく姿を描く本作。明確な答えはないものの、拓けた未来への希望を感じずにはいられない瑞々しい作品となった。無垢でまっすぐな若者の姿が朝陽に照らされ浮かび上がる映像は、一瞬で過ぎてしまう”あの頃”の切なさ、甘酸っぱさ、多幸感を思い出させる。

 この作品では美紀(佐藤玲)をはじめ、高校ではなんとなく居場所をうまく作れなかった5人が集まって物語が紡がれていく。居場所がないゆえの不器用さで、衝突が生まれてしまうシーンも多くあった。今でこそ、大人になってしまうとそれは自然に回避してきた問題だと感じる。しかし高校を卒業するという「大人にも子供にもなりきれない」時期のフラストレーションとほとばしるエネルギーはそれを回避することを許さなかった。美紀や寛子(岡野真也)の抱える礼奈(佐藤優津季)、香澄(冨手麻妙)との関係、直樹(中島広稀)の抱える太一(狩野健斗)、浩二(山元駿)との関係。学生時代にクラスという枠組みの中で過ごしていたら、見過ごすことはできなかった時間を思い出した人も多いだろう。鑑賞後はあの頃の少し息苦しいような胸を締め付ける感情を久しぶりに感じ、歯がゆい思いをした。

 しかし青春は思い出すことでは体験できない。あの輝きの本物の姿は少しの苦しみと、高揚感なのだと思う。そして青春は、”輝いていた”という思い出補正をかけ“青春”と呼び、宝物にしてしまったところから大人への一歩を踏み出してしまう。「私たちの日常を、大人たちは、青春と呼んだ。」という本作のキャッチコピーはそんな大人と、等身大の若者を結びつける言葉であった。

      

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