『海に眠るダイヤモンド』新井Pが明かす“伝説回”の詳細 涙腺崩壊スタッフが続出の撮影裏も

『海に眠る』新井Pインタビュー(前編)

 12月22日に最終回を迎える日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)。1955年の長崎・端島と、現代の東京とを舞台にした本作は、神木隆之介が端島の青年・荒木鉄平と現代のホスト・玲央の1人2役を演じていることでも注目されている。

 物語は、コードネーム・いづみ(宮本信子)と名乗る端島で育った出水朝子(杉咲花)が、忘れられない初恋の人・荒木鉄平と瓜二つの玲央に声をかけるところから始まった。鉄平に興味を持った玲央は、いづみが保管していた10冊の日記を紐解いていく。そこには、現在は無人島となった端島のたしかにあった人々の暮らしが生き生きと綴られていた。高度経済成長期の活気に溢れた日常。朝子を含めた若者たちのキラキラとした青春。そしてやがてやってくる閉山のときも……。

 数十年にも渡る壮大な物語を紡ぐ上で、話題となったのがリアルな端島の風景やキャストたちの自然な演技だ。なかでも、幸せいっぱいな第6話には反響が大きかったという新井順子プロデューサーに撮影秘話を中心に、現場の様子について聞いた。(佐藤結衣/最終回前インタビュー前編)

伝説回となった第6話

――第6話では鉄平が朝子に告白をしたり、賢将(清水尋也)が百合子(土屋太鳳)にプロポーズが成功したりと、愛に溢れた幸せな回となりました。新井さんのもとにはどのような反響が届きましたか?

新井順子プロデューサー(以下、新井):「もう第6話が最終回でいいじゃん!」みたいなことはすごく言われましたね。「第7話以降が嫌な予感しかしない」とも(笑)。たしかに、それまで台風が来たり、労働闘争が起こったり、戦争をテーマにした回があって、第6話がとても平和な回だったので。なかでも、鉄平と朝子の告白シーンの評判がすごく良くて。「お芝居がやばい!」「何なんですか、あのお芝居は」と放送後連絡をくれた方も多かった。なかには「どうやったら、アレができるんですか」って、俳優さんたちからも聞かれたくらい。ここまでとは思わなかったので、予想外の反響でした。

――あのシーンは神木さんの提案が反映されているそうですね?

新井:そうなんです。恋愛バラエティ番組の「『あいのり』みたいにしたい!」ってずっと言っていました(笑)。なので、監督もカメラマンさんに、そういう雰囲気で撮るように指示していたんです。望遠かつ5分以上の長回しで。ピンやブレも調整せずに、極力ありのままの状況を活かす形にしようと。鉄平がどのタイミングで「好きだ」と言うのかがわからなかったので、我々もじっとあの状況を見守っていました。放送上、どうしても短くはなってしまったのですが、本当はもっと間をとっていたり、もじもじといろいろなことをやっていたんですよ。いつかディレクターズカット版で、ロングバージョンをお届けしたいくらいです。撮影が終わった後も、その現場にいなかった人たちに「昨日、こういうシーンを撮ったんだよ。観てほしい!」みたいなことを言っていたので、ご本人としても気合が入っていたんだろうなと思いました。

――杉咲花さんの自然なリアクションも話題を呼んでいました。

新井:カメラに背中を向けて涙を拭っていたじゃないですか。あえて後ろを向くっていう……あれはすごいなって思いましたね。撮影の仕方とかは神木さんの演出アイデアがありましたけど、朝子のリアクションについてはお任せだったので。きっと自然にポロッと涙が出てしまったんだと思います。(杉咲)花ちゃんに関しては、そういう思わぬところで涙が出てしまうっていうことが前にも別のシーンであって。「すみません、泣いてしまいました。もう1回やったほうがいいですよね」って言われたんですけど、監督が「いや、そのままでいいから。そのままOK」ってなっていたのを覚えています。私が花ちゃんと最初に会ったのは、彼女が中学2年生くらいのときでした。今も27歳と若いんですけど、本当に成熟されたなという印象です。当時からニュアンスのお芝居が抜群でしたがより深みが増して。お芝居をしてないお芝居だなって思いました。個人的には朝子を演じる上で、どこまで宮本信子さんを意識されたのかなっていうのは聞いてみたいところではありますが。

――朝子といづみの繋がりについて、宮本さんと杉咲さんとで打ち合わせをされてはいないのでしょうか?

新井:直接、そのことについて話されているところは見ていないのですが、現代パートの撮影現場に花ちゃんが宮本さんに会いに来たことはありました。撮影の順序的に花ちゃんのほうが先に朝子を演じていたので、宮本さんが花ちゃんのお芝居を動画で撮ったものを見ていらっしゃったようなんですけど。

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