松下洸平主演『放課後カルテ』は後世に語り継がれる作品だ 数々の名シーンを振り返る

『放課後カルテ』は後世に語り継がれる作品

 後世に残り、愛され続けるドラマの条件とはなんだろう。感動的なストーリー、記憶に残る個性的なキャラクターなどさまざまな条件があるが、観るだけで一種の学びを受け取れるかどうかも条件の一つのように思う。

 例えば、『コウノドリ』(TBS系)や、『Shrink-精神科医ヨワイ-』(NHK総合)。ドラマを視聴するだけで、妊娠出産にまつわる病気や事例、精神疾患の症状や患者の状況について知ることができる。もちろん、ドラマを観ただけですべてを知った気になるのは危険だが、その分野について知識を深めていくきっかけを提示しているのには、間違いない。

 『放課後カルテ』(日本テレビ系)は、そういった点においてとても優秀なドラマだった。第1話では激しい眠気に襲われるナルコレプシー、第4話ではストレスによる破壊衝動、第8話では社会的な場面でのみ声が出せなくなってしまう場面緘黙症が描かれた。どの病気も誤解を受けやすく、当事者も周りも深く悩むことになる病だ。それらが、子役たちの名演と丁寧な脚本、演出により、分かりやすく、そして当事者に寄り添う内容になっていた。これらがテレビドラマで描かれ、病気について知るきっかけを数多くの人に与えたというだけで、『放課後カルテ』は大きな使命を果たしたといえるだろう。


 『放課後カルテ』の功績は、知名度の低い病を扱っただけではない。第2話では、小学生男子が遊びとして繰り返す度胸試し、AEDを使用する小学生の姿から命の大切さを説き、第3話、第9話では、大病を患い、行動が制限されている子供と家族の葛藤、第6話では教師の多忙さと健康管理についても取り上げた。どれも小学校を舞台に起こり得てしまう、実際にその悩みに直面している人がいる内容ばかり。そして、そのどれもが周りからは見えづらいために、軽視されがちなものだった。1話1話じっくりと時間をかけて、その立場特有の悩みや葛藤を描きつつ、それらを主人公である学校医の牧野(松下洸平)が、不器用に解決していく。ドラマとして楽しんでいるうちに、小学生やその周りの心身の問題を知ることができるのだ。

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