大内雷電の『ハン・ソロ』評:特撮オタクが見た『スター・ウォーズ』の未来と可能性

大内雷電の『ハン・ソロ』評

 THE 夏の魔物や科楽特奏隊で活躍する特殊ベーシスト・大内雷電が、オタク魂を込めて映画を熱く取り上げる連載企画。東京ディズニーランドのアトラクション「スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー」の全シーンを見るために、開演から閉園までの14時間を費やした男・大内は、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』をどう観たのだろうか。(編集部)

 日本公開前の評判を払拭するほど『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』はしっかりした作品だった。設定が複雑で、ストーリーの前後はもうすでに過去作で明かされているという状況下で、本作は破綻することなく仕上がっている。「スピンオフだなんて、後付け」と言われるかもしれないが、我々日本のオタクは時代設定を超越するテクノロジーが後からバンバン出てくる『機動戦士ガンダム』で育っているわけで、『スター・ウォーズ』の追加設定なんて何も怖くない!

 今回の『ハン・ソロ』は、スピンオフ企画第1弾となった『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』よりもフォースやジェダイが関わってこないことが大きな特徴だった。ドニー・イェン演じるチアルートは、ジェダイの存在とフォースの思想を信じていたわけだが、『ハン・ソロ』にはそのような人物が一切登場しない。

 これまでの流れを振り返ると、新三部作でフォースの成り立ちが描かれ、続三部作ではフォースの謎が深く掘り下げられてきた。しかし、そもそもシリーズ第1作目の『スター・ウォーズ』の時点で、ジェダイやフォースはそこまで重要ではなかったように思う。銀河を冒険するメインストーリーの中で、フォースはあくまでも一要素として収まっていた(ルークも力を使いこなせていなかったわけで)。すなわち、『ハン・ソロ』は惑星と惑星との間を冒険する第1作目により近づいたとも言えよう。

 フォースというテーマから解放された本作では、世代を超えて愛されるハン・ソロの知られざる過去が紐解かれていく。もともと孤児だったハンのラストネームである“ソロ”というのは、帝国軍の兵士の気まぐれで付けられていたのには驚いた。

 しかし、よく考えてみると本作の原題が、『Han』ではなく『Solo』だったのには、ハンが“ソロ”プレイヤーで独りぼっちである意味も含まれているからではないだろうか。また、今回登場したハンを含むランド・カルリジアン(ドナルド・グローヴァー)、キーラ(エミリア・クラーク)、トバイアス・ベケット(ウディ・ハレルソン)、チューバッカ(ヨーナス・スオタモ)はそれぞれ孤独な背景を抱えており、全員が“ソロ”であることにもかかっているように思う。

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