山下達郎の記事一覧

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当代随一のポップ・ミュージック・クリエイターとして知られる彼であるが、重度の音楽マニアという側面も見逃せない。75年、かの大貫妙子も在籍していたシュガー・ベイブのギター&ヴォーカル、ソングライターとして、アルバム『ソングス』にてデビュー。大滝詠一プロデュースによる本作は、達郎のアメリカン・ポップ・ミュージックに対する異常なまでの愛情を、大滝による和製フィル・スペクター・サウンドで包み込んだ、まさにグッド・タイム・ミュージックそのもの。ドゥ・ワップ、ブルーアイド・ソウル、R&B、サーフィン/ホット・ロッドといったアメリカン・ポップ・ミュージックのすばらしさがギュっと詰め込まれた楽曲、高度に洗練された演奏技術、とろけるようにスウィートなメロディ……。日本ポップ史に燦然と輝く傑作である。しかし大変残念なことに、セールス的にはまったく振るわなかった。
グループ解散後の76年には、早くも1stソロ・アルバム『サーカス・タウン』をリリース。N.Y.とL.A.にて録音されたためか、当時勃興しつつあったAORやフュージョンの影響が垣間見えるコンテンポラリーな作品に仕上った。以降も、コンスタントにキラ星のようなポップ・アルバムを発表し、徐々にファン層を拡大していく。そして、83年発表の『メロディーズ』にて、全国規模の人気を獲得するに至る。クリスマス・ソングの大定番「クリスマス・イブ」や、サマー・ポップの横綱「高気圧ガール」など、人気ナンバーを数多く収録しており、大ヒットを記録。90年代に入っても、「クリスマス・イブ」のリヴァイバル・ヒットをはじめ、アルバム『ARTISAN』『コージー』と傑作を続々リリースし、不動の地位を築いていく。またKinKi Kidsへの楽曲提供なども知られるところだ。猛烈なポップ・ミュージック・フリークが作り出した音楽が、これほどまで大衆に受け入れられたという事実は、ある意味奇跡的である。

キーマンが語る、山下達郎の“先見の明”

山下達郎の持つ“先見の明”とは? プロジェクトのキーマン・スマイルカンパニー黒岩利之氏に聞く

音楽文化を取り巻く環境の変化をテーマに、業界のキーパーソンに今後のあり方を聞くインタビューシリーズ。今回はソニーミュージック・レ…