嵐「復活LOVE」はなぜ画期的か? グループの新代表曲を徹底分析

参考:2016年02月22日~2016年02月28日のCDシングル週間ランキング(2016年03月07日付)

 今週のシングルランキングは、嵐の『復活love』が1位。初週売上は前作「愛を叫べ」(昨年9月発売)の46.3万枚を上回り、48.5万枚という結果になった。そこで、今回の記事では、このシングルの表題曲について、じっくりと分析していきたい。

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(C)タナカケンイチ

 最初に結論から言うと、嵐というグループにとって、この曲が大きなターニングポイントとなることは間違いないだろう。その理由は四つある。

 一つは、竹内まりやが作詞を、山下達郎が作曲・編曲を手掛けているということ。そもそも、若手の実力派から大物まで数々のミュージシャンを意欲的に起用してきたSMAPとは対照的に、嵐の楽曲をこれまで有名アーティストが手掛けることは非常にまれだった。多くは国内・海外の専業作曲家のコライトによるもので、それがイメージの統一感に結びついていた。布袋寅泰が手掛けた前作アルバム『Japonism』のリード曲に続き、まずシングル表題曲を大物ミュージシャンが手掛けたこと自体が、嵐というグループにとっての大きな路線の変化と言える。

 そして二つ目はサウンド。楽曲自体も、これまでの嵐の路線とは大きく違う。山下達郎が手掛けているのだから当然だ。印象的なのは曲が始まってからの20秒。ハイハットのフィルインに、「チャカチャカチャカ」というカッティング・ギター、そして駆け上がるストリングス。頭の5秒にポップスの王道のイヤーキャッチをこれまでかと詰め込んでいる。そしてセクシーなベースラインにグルーヴィーなリズム、ワウ・ギターにゴージャスなホーンセクション、とどめは作曲者本人が「♪ベイビー、カム・バック」と歌うコーラス。イントロだけで、ザッツ・山下達郎。とても記名性の強いサウンドである。

 全体の曲調も彼の代名詞と言うべきアーバン・ソウルだ。これまで近藤真彦「ハイティーン・ブギ」やKinki Kids「硝子の少年」などを手掛けジャニーズ事務所とも縁深い山下達郎だが、嵐への提供曲では自らのアーティスト性を強く打ち出した形と言える。動いていくコード進行の上で同じメロディが何度も繰り返されるサビも、彼が得意とするポップソングの真骨頂。拡大解釈された「シティ・ポップ」風味の楽曲がインディー発の音楽シーンを賑わしてきたここのところの風潮の一方で、メインストリームのど真ん中にまごうことなき本物が投下された格好だ。

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