作品評の記事一覧

(2749件)

公開中の話題作を中心に、幅広い作品を映画評論家・ライターが徹底レビュー。

松江哲明の『ロング,ロングバケーション』評

松江哲明の『ロング,ロングバケーション』評:ただの“いい映画”ではない、風格と実験性

ヘレン・ミレンとドナルド・サザーランドの共演、爽やかなポスタービジュアル……最初に受け取った情報だけで、“いい映画”なのは間違い…

アメリカの現状をあぶり出す『デトロイト』

地獄のような体験を観客に味わわせる映画『デトロイト』は、現在のアメリカの状況をもあぶり出す

執拗な侮辱や罵倒、激しい恫喝、そして銃撃による殺人…。人の目が無い狭い空間で、警官に異常な暴力を受け続ける地獄のような体験をじっ…

菊地成孔の『スリー・ビルボード』評

菊地成孔の『スリー・ビルボード』評:脱ハリウッドとしての劇作。という系譜の最新作 「関係国の人間が描く合衆国」というスタイルは定着するか?

「菊地成孔の欧米休憩タイム~アルファヴェットを使わない映画批評~」に次ぐ菊地成孔の映画批評連載「菊地成孔の映画関税撤廃」は、タイ…

『スリー・ビルボード』が描く、人間の多面性

『スリー・ビルボード』が描く、善悪混淆と人間の多面性

ミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)の深いしわが刻まれたその顔は、砂漠のようにカラカラに乾いている。その乾きは、もはや感傷…

トランス映画として新しい『アバウト・レイ』

他のトランスジェンダー映画と一線を画す? 『アバウト・レイ 16歳の決断』が描く“心の交流”

「何者かになりたい」という願望を、おそらく多くの人が抱いたことがあるだろう。本作『アバウト・レイ 16歳の決断』の主人公レイ(エ…

小野寺系の『ザ・リング/リバース』評

ジャパニーズ・ホラーはただの流行りものではなかったーー『ザ・リング/リバース』に見るその行方

一時期、世界的なブームとなった「ジャパニーズ・ホラー」。その火付け役となった代表的作品といえば、中田秀夫監督の『リング』(199…

『ロング,ロングバケーション』の愛の煌めき

『ロング,ロングバケーション』は最高にゴキゲンな作品だーー老夫婦のユーモアに満ちた愛の煌めき

どんな時でもユーモアを。こんなときこそユーモアを。どんなに悲嘆的になりそうな状況でさえ、ユーモアを忘れない。イタリアの名匠パオロ…

『デヴィッド・リンチ:アートライフ』評

何がリンチただ一人の語りを可能にしたのか? 『デヴィッド・リンチ:アートライフ』を読み解く

デヴィッド・リンチ――彼の紡ぐ不可解な悪夢の世界にうなされたことが一度でもあるならば、誰もがその謎を紐解いてみたくなるだろう。本…

『インポスターズ』が描く、複数の恋のかたち

全員嘘つきのラブバトル 海外ドラマ『インポスターズ 愛しの結婚詐欺師』が描く、複数の恋のかたち

1月25日からHuluプレミアにて配信が開始される海外ドラマ『インポスターズ 愛しの結婚詐欺師』は、いわば全員嘘つきのラブバトル…

『ハネムーン・キラーズ』『地獄愛』評

殺人鬼カップルのメチャクチャさについていけない! 『ハネムーン・キラーズ』と『地獄愛』

あけましておめでとうございます。年始から殺人の話で恐縮ですが、今回はアメリカの犯罪史に残る殺人鬼カップルを扱った映画をご紹介しよ…

女性に観てほしい『中二病でも恋がしたい!』

キャラが抱える悩みに共感 『映画 中二病でも恋がしたい!』が女性にこそ観てほしいワケ

『映画 中二病でも恋がしたい! -Take On Me-』が、現在公開中だ。『涼宮ハルヒの憂鬱』『けいおん!』などを手掛けてきた…

荻野洋一の『8年越しの花嫁』評

『8年越しの花嫁』は安直な“メディア商品”ではないーー作り手たちが紡いだ愛のメタファーの反復

『8年越しの花嫁 奇跡の実話』のクリスマス&新春興行が絶好調である。TBS幹事の難病+結婚式ムービーとしては8年前に『余命1ヶ月…

『キングスマン』シリーズが示す“紳士の精神”

続編でもブレない突き抜け方 『キングスマン』シリーズが示す、“現代の紳士の精神”

『007』シリーズや『ミッション・インポッシブル』シリーズ、『コードネーム U.N.C.L.E.(0011ナポレオン・ソロ)』……

『キングスマン』続編に漂う徹夜明けの雰囲気

スマートな映画の歪な続編!? 『キングスマン:ゴールデン・サークル』に漂う、徹夜明けの雰囲気

「それ、『男たちの挽歌2』(87年)じゃないですか」……『キングスマン』(14年)の続編ができる、しかもアレしちゃった人気キャラ…

『勝手にふるえてろ』は歪んだ心に刺さる

歪んだ心にグサリと刺さる 『勝手にふるえてろ』が描くリアルすぎる“こじらせ女子”

キラキラしている“あの子たち”と同じ写真アプリを使っても、人生までは加工することはできない。たとえ制服を脱ぎ去ったとしても、青春…

『みせコド』が少女漫画実写で特別なワケ

“キラキラ映画”の枠超えたキラキラ感! 中島健人ら主演『みせコド』が少女漫画実写で特別なワケ

2010年代に入り、毎年10作品前後のペースで実写映画化されている少女漫画。往年の名作から、最新の人気作まで幅広く映画化され、す…

『バーフバリ 王の凱旋』が傑作となった理由

『バーフバリ 王の凱旋』は歴史に残る娯楽超大作だーー黒澤明やジョージ・ルーカスの精神を受け継ぐ

映画大国インドで歴代興行収入1位に輝き、さらに全米で週末興行成績3位を獲得するという大快挙を達成したインド映画、『バーフバリ 王…

サエキけんぞうの『最後のジェダイ』評

サエキけんぞうの『最後のジェダイ』評:新しい『スター・ウォーズ』は女性登場人物たちと連動している

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』が物議を醸し出している。好きと嫌いがハッキリと別れ、まっぷたつなのである。流行に敏感な批評家…

『ブリムストーン』新たな西部劇の可能性

アメリカ史の裏に隠された血塗られた暗部 『ブリムストーン』が示した、新たな西部劇映画の可能性

いま、「西部劇」で何を語ることができるのか。  『ドリーム』や『ズートピア』などに代表されるように、人種や性別、宗教への差別を…

ケンゴマツモトの『ノクターナル・アニマルズ』評

ケンゴマツモトの『ノクターナル・アニマルズ』評:トム・フォードの美学やパーソナルが詰まった混沌とした世界

世界的ファッションデザイナーのトム・フォードが、監督を務めたミステリー映画『ノクターナル・アニマルズ』。彼がメガホンを取ったのは…

『カンフー・ヨガ』が優れた作品となった理由

ジャッキー・チェンは西洋と東洋の価値観を結び付けるーー『カンフー・ヨガ』が優れた作品となった理由

世紀のアクションスター、ジャッキー・チェン。これまでスクリーンのなかで、「限界に挑む危険なスタントアクション」、「オリエンタルな…

松江哲明の『IT イット』評

松江哲明の『IT/イット』評:配信ドラマ的手法で表現された今日的な“恐怖”

1990年のオリジナル版でティム・カリーが演じたペニーワイズは、それまで見たどんなピエロよりも怖くて、夢に出るぐらいのトラウマを…

小野寺系の『SW/最後のジェダイ』評

小野寺系の『最後のジェダイ』評:ディズニー帝国の『スター・ウォーズ』に新たな希望は生まれるか?

1977年にアメリカで第一作が公開されて以来、映画の枠を越え世界中で社会現象を巻き起こし続けてきた『スター・ウォーズ』シリーズ。…

『ユダヤ人を救った動物園』の勇気と正しさ

ジェシカ・チャステインの装いが意味するものーー『ユダヤ人を救った動物園』が描く勇気と正しさ

ジェシカ・チャステインの代表作といえば『ゼロ・ダーク・サーティ』がいちばんに挙げられるだろうが、個人的には『ヘルプ ~心がつなぐ…

小野寺系の『オリエント急行殺人事件』評

2017年版『オリエント急行殺人事件』は観客を未知の世界へと誘うーーケネス・ブラナーの新解釈

「灰色の脳細胞」で難事件を解決するエルキュール・ポアロといえば、創作による名探偵のなかでもトップクラスに名が知られ、親しまれてい…