作品評の記事一覧

(2749件)

公開中の話題作を中心に、幅広い作品を映画評論家・ライターが徹底レビュー。

『ボス・ベイビー』なぜ人気作に?

『ボス・ベイビー』なぜ人気作に? 脚本の整合性を超えた実存主義的な姿勢

自宅の前に停まった一台のタクシー。7歳の少年ティムが外を見ると、そこから降りてきたのは、いかにも高級そうな黒いスーツと腕時計、サ…

偏見を覆す『坂道のアポロン』の強み

ただのティーン向けキラキラ映画じゃない 漫画原作への偏見を覆す『坂道のアポロン』の強み

Hey! Say! JUMPの知念侑李が主演を務め、共演には『きょうのキラ君』の中川大志に、『黒崎くんの言いなりになんてならない…

『リメンバー・ミー』ヒットの社会的意味

『リメンバー・ミー』はなぜ感動を呼ぶ? “優しさ”がもたらした深いテーマ性

アニー賞、ゴールデングローブ賞などで主要な賞を獲得し、第90回アカデミー賞、長編アニメ映画賞に輝いた『リメンバー・ミー』。近年の…

『ちはやふる -結び-』、満点の出来栄えに

成功のカギは“原作”からの解放!? 『ちはやふる -結び-』、“映画”として満点の出来栄えに

人気漫画を映画化するとなれば「どのように映像にするか?」という課題は確実に付いて回る。とりわけ長く連載が続いている少女漫画の場合…

宇野維正の『ベルリン・シンドローム』評

「監禁モノ」に新たな秀作登場! 『ベルリン・シンドローム』のリアルで緻密な心理描写

この数年、「監禁モノ」という映画のジャンルとしてはかなり狭い状況設定の作品に、同時発生的に秀作が続いていることが気になっているの…

ISHIYAのイギー・ポップ ドキュメンタリー評

イギー・ポップの音楽への姿勢は70歳を過ぎても変わらないーーISHIYAの『ギミー・デンジャー』『アメリカン・ヴァルハラ』評

パンクというアティテュードを確立した開拓者であるイギー・ポップを語る上で、ザ・ストゥージズの存在は欠かせない。 …

映画『坂道のアポロン』に感じる息吹

映像の組み合わせ方によって“リズム”が生まれる 『坂道のアポロン』にみる、三木孝浩監督の手腕

生まれも育ちも違うのに、同性異性と関係なければ、年齢でさえもどうでもいい。それくらい誰かを愛おしく想った経験は誰にだってあるだろ…

荻野洋一の『ブラックパンサー』評

荻野洋一の『ブラックパンサー』評:普通の映画であることによって革命的作品に 

この映画にはメッセージはない。あるとすればただひとつ、「われは黒人」という一点が身体言語によって執拗にくり返されている。アメリカ…

『プリンシパル』理想と現実の絶妙なバランス

少女漫画原作映画はもっと評価されるべきーー『プリンシパル』が操る“理想と現実”の絶妙なバランス

今年も少女漫画の実写映画化は止まらない。ここ数年、毎年10本前後のペースで公開され、主要ターゲットとなる学生の長期休み期間をねら…

小野寺系の『シェイプ・オブ・ウォーター』評

『シェイプ・オブ・ウォーター』は、なぜアカデミー賞作品賞を受賞したのか?

アカデミー賞有力作品『スリー・ビルボード』との競り合いを制し、第90回アカデミー賞作品賞に選ばれたのは、一人の女性と半魚人との恋…

『グレイテスト・ショーマン』音楽の全能感

音楽がストーリーそのものに 『グレイテスト・ショーマン』の幸福な音楽の全能感

「さあ、立ち上がって」。第90回アカデミー賞で主演女優賞を受賞したフランシス・マクドーマンドが、メリル・ストリープをはじめとして…

『プリンシパル』で紐解く王道プリンセス映画

小瀧望、作品引っ張る役を演じ切る“強さ” 青春を駆け抜けるような『プリンシパル』の構成を紐解く

累計発行部数150万部突破の人気少女漫画『プリンシパル』(集英社)が、旬の若手キャストを迎え実写映画化された。本作では、ヒロイン…

『ブラックパンサー』は何が画期的?

社会現象にまでなった『ブラックパンサー』は何が画期的だったのか? 背景にある社会状況から考察

アメリカを中心に、いままさに社会現象を巻き起こしているマーベル映画『ブラックパンサー』。ヒーロー単独のシリーズとしては、マーベル…

モルモット吉田の『不能犯』評

松坂桃李、日本映画界に欠かせない俳優に 『不能犯』『娼年』『孤狼の血』まで、その演技を考察

映画の中で描かれる嘘にリアリティを与えるためには、俳優の力が不可欠だ。これが特撮映画ならば、特撮技術とそれを見せるセンスがなけれ…

韓国の“兄貴映画”に新たな金字塔!

韓国の“兄貴映画”に新たな金字塔! 『コンフィデンシャル 共助』が映像化した“愛され兄貴”の概念

韓国には親しい年上の男性を「兄貴」と呼ぶ文化がある。いわゆる義兄弟だが、日本のヤクザ的な兄貴/舎弟よりもっと気軽なノリだ。こうい…

小野寺系の『空海―KU-KAI―』評

大衆娯楽としての魅力だけではない? 『空海―KU-KAI―』で描かれたチェン・カイコーの核

日本と中国映画界の一大プロジェクトとなった『空海―KU-KAI― 美しき王妃の謎』。『陰陽師』シリーズの作家・夢枕獏の小説『沙門…

『ビッグ・シック』なぜ観客から支持された?

パキスタン出身男性が主人公の恋愛物語、『ビッグ・シック』はなぜ観客から支持されたのか?

サンダンス映画祭で初公開された瞬間から、映画会社による争奪戦が繰り広げられたという恋愛コメディー映画『ビッグ・シック ぼくたちの…

今祥枝の『シェイプ・オブ・ウォーター』評

異形の者たちの愛の物語『シェイプ・オブ・ウォーター』は、戦い続ける人々の心に染み入る

過去のトラウマから声を出すことができない女性イライザ(サリー・ホーキンス)と、南米の奥地にある川から無理やり連れて来られた不思議…

『ナチュラルウーマン』“鏡”が意味するもの

幻惑的な鏡の使い方が意味するものとは? 『ナチュラルウーマン』が描く、世界に存在する現実

イグアスの滝の獰猛な流れが映し出される。このイグアスの滝の持つ力強さをそのまま体現したかのような人物が、本作『ナチュラルウーマン…

『パンバス』深川麻衣の魅力が最大限

深川麻衣演じるヒロインが最大の魅力に 『パンとバスと2度目のハツコイ』の“孤独”という名の繭

フランスパンで殴られてケガをするなんて、本当はない。コインランドリーの「孤独」と名のついた本だらけの本棚とその本棚を守る子供はい…

“おとぎ話”を成立させる綾瀬はるかの魅力

綾瀬はるか、“おとぎ話”を成立させる魅力 『今夜、ロマンス劇場で』は映画へのラブレターだ

予告やあらすじを見る限り、『今夜、ロマンス劇場で』は王道のラブストーリーに見える。映画監督を夢見る青年・健司が、ある日、通い慣れ…

モルモット吉田の『犬猿』評

『犬猿』は2018年を代表する1作となる 『男はつらいよ』に連なる“愚兄賢弟”と“愚妹賢姉”の物語

外見も性格も、対象的な兄弟と姉妹――『犬猿』は、長らく遠くに行っていた荒っぽい性格の兄・卓司(新井浩文)が、フラリと弟の和成(窪…

『マンハント』はジョン・ウーの希望の結晶だ

チャン・ハンユーと福山雅治の“正義を信じる心” 『マンハント』はジョン・ウーの希望の結晶だ

あのジョン・ウー監督が、日本を舞台にアクション映画を撮った。しかも、チャン・ハンユー(『戦場のレクイエム』)とともに福山雅治を主…

ポップアートとしての『ポプテピピック』

ポップアートとしての『ポプテピピック』ーーその先進的構造の背景を読み解く

とんでもないTVアニメシリーズが出現してしまった。いろいろな意味で破壊的な内容が話題となっている『ポプテピピック』である。爆発的…

『ザ・メイヤー』が描く、政治の世界の中の欲望

韓国ではなぜ権力を映画で描くのか? 『ザ・メイヤー 特別市民』が映し出す、政治の世界の欲望

昨年の今頃は、『哭声/コクソン』、『アシュラ』、『お嬢さん』と韓国の映画が次々と公開され話題となった。その後も『新感染 ファイナ…

観客の心理操る『スリー・ビルボード』の衝撃

物事の二面性と中間性を体現する『スリー・ビルボード』の衝撃

「なんだ、これは…」『スリー・ビルボード』を鑑賞中に、思わず何度もつぶやいてしまった。予想を裏切り続ける衝撃的な展開の連続に、こ…