『クジャクのダンス』『東京サラダボウル』で大注目 絃瀬聡一が感じる役者の面白さとは?

出演者も“犯人”を知らずに作品に参加しているという異色のドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系)。回を重ねるごとにさらなる謎が生まれている中、視聴者から「怪しい」という声があがっていたキャラクターが、刑事・秋貞隆雄だ。演じるのは、3年連続でTBSドラマに出演している絃瀬聡一。1月期は、NHKドラマ10『東京サラダボウル』にも出演し、妖しい魅力を放った。『東京サラダボウル』とは正反対の役柄ともいえる『クジャクのダンス、誰が見た?』秋貞役にはどんな思いで臨んでいたのか。じっくりと話を聞いた。(編集部)
あらゆることを教えてもらった『集団左遷!!』

――『クジャクのダンス、誰が見た?』は、キャストのみなさんも犯人を知らなかったそうですが、絃瀬さんの中に「自分が犯人なのかもしれない」という思いはありましたか?
絃瀬聡一(以下、絃瀬):正直、第1、2話まではなかったです。でも、回を重ねるごとに赤沢役の藤本(隆宏)さんから「秋貞怪しいよね」と言われるようになって。自分では怪しいと思っていなくても、第三者からは「怪しい」と捉えられていることにビックリしました。徹底的に犯人を隠されていたので、そこから「俺って怪しいのかな?」と思い始めて(笑)。もしかしたら終盤になって「『実は秋貞が犯人だよ』と言われることもあるのかな」とか、いろんな想像を膨らませながらお芝居をするようになっていきました。
――何かお芝居に変化もありましたか?
絃瀬:“わざと怪しく見えるように演じる”ということはないです。ただ、「どんな意図で、こういった撮り方をするんだろう」と思うことはありました。ふとしたところで、監督から「真顔で見てほしい」って言われたりするんですよ。そういった要望を受けたときに、「なんでなんだろう?」「自分って怪しいのかな」と思ったりして。なんだか不思議な撮影期間でしたね。
――物語が後半になるにつれて、赤沢刑事との関係性にも変化が訪れます。その中で、演じる藤本さんとの距離感について意識することはありましたか?
絃瀬:いや、まったくないです(笑)。僕は藤本さんが大好きなので、お見掛けしたらすぐお話しに行っちゃいますね。藤本さんとお話してると落ち着くというか、すごくかわいがってくださっているのを感じるんです。実際、藤本さんはいろいろな取材で僕のことを「本当かわいい」と言ってくださっていて、僕も藤本さんに懐いています(笑)。ふだんは穏やかなのに、役に入ると切り替わる。その姿がすごくカッコよくて、本当に尊敬しています。

――俳優デビュー作『集団左遷!!』(2019年)にはじまり、絃瀬さんは『下剋上球児』(2023年)、『Eye Love You』(2024年)とたくさんのTBSドラマに出演されています。
絃瀬:「またTBSドラマに出演できるんだな」と思うたびに嬉しい気持ちになりますし、すごく温かいなぁと思います。実は8割くらいは知っているスタッフさんで、今回、良い意味で緊張もなくアットホームな気持ちで撮影に入れたのは、これまでにご一緒してきたみなさんのおかげだなと思っています。
――デビュー当時のことは覚えていますか?
絃瀬:事務所に入ってすぐ『集団左遷!!』に出演することが決まって、それまで撮影現場というものを見たこともなかったので、お芝居以外のこともたくさん学ばせていただきました。当時はまだ17歳で、「現場はこういうものなんだよ」「社会ってこうやって回っているんだよ」「仕事ってこうなんだよ」と、本当にあらゆることを教えてもらいました。
――日曜劇場という大きな作品で俳優デビューというのも、すごいことですよね。TBSドラマには思い入れも強いのでは?
絃瀬:『下剋上球児』はオーディションでしたけど、また日曜劇場に帰ってこられたことが本当に幸せでした。『Eye Love You』でも忘れられない経験をたくさんさせていただいて。本当に思い入れはたくさんあって、これからもたくさんお世話になれたらいいなと思っています(笑)。