『シャザム!』はジュブナイル物の魅力が満載! 今後のDC映画づくりに与えたヒントとは
『シャザム!』はバットマンやスーパーマンと同じDCコミックのヒーロー。いわゆるアメコミ・ヒーロー物ですが、DCの他のヒーロー、いやマーベルのヒーローと比べてもかなり異色の存在です。見た目は“マントをつけたタイツ姿のマッチョ”でよくあるスーパーヒーローのルックスをしていますが、このヒーローがユニークなのは“少年が呪文で変身する”という設定。意外なことに、こういう変身ヒーローというのはアメコミでは珍しいのです。
例えばスパイダーマンの正体はピーターという青年、バットマンの相棒ロビンも本当の姿はディック・グレイソンという少年ですが、彼らの場合“変身”というより、“変装”に近いですよね。それに対しシャザムは、ただの人間であるビリー少年が、不死身の超人に変化するのです。“なんの苦労もなく強くたくましい男になれたらいいのに”という少年の夢をそのまま形にしたようなヒーロー。だから人気がありました。考えてみれば、子どもはどんなにスーパーマンに憧れても、“彼”になることは出来ないですよね。そもそも宇宙人だから。でもシャザムにはなれるかもしれないわけです。
従って映画『シャザム!』も“ヒーロー物”というよりは、“ヒーローになることの出来る少年の物語”であり、優れたジュブナイルとしての魅力があります。今回『シャザム!』のレビューにおいて『グーニーズ』や『ビッグ』の名をあげる人が少なくありません。前者は少年少女が活躍する冒険もの、後者は子どもが大人になるファンタジー。『ビッグ』へのオマージュ・シーンもあります。
『シャザム!』の成功で思い出すのは『アクアマン』。彼もDCのヒーローですが『アバター』や『インディ・ジョーンズ』的な要素をとりいれた海洋冒険アクション映画に仕上がっていました。『アクアマン』と『シャザム!』の成功にはこれからのDC映画づくりのヒントが垣間見えます。つまりヒーロー物と他のジャンル映画の要素を掛け合わせることです。こうすることでキャラクターよりもストーリーを重視した作品にする、ということでしょうか。