佐野元春が体現する“音楽のマジック”、ロックで届け続ける変わらぬ意志 「今井智子 ロックスターと過ごした記憶」Vol.6
音楽ライター 今井智子氏による連載「今井智子 ロックスターと過ごした記憶」。約50年にわたるキャリアの中で、数々の日本のロックス…
——始まりは、80年にリリ−スされたシングル「アンジェリーナ」だった。スピード感のあるロック・ビートに、都会で生活する若者の憂えた感情を描いた歌詞は、彼自身の「日本語えいご的な歌唱法」と共にまったく新しいタイプのロックとして、当時のポップ・シーンに受け入れられた。そして「ガラスのジェネレーション」、続く「サムデイ」でその世界観を完成させるものの、その場所に安住せずアルバムごとに時代のトレンドや音楽嗜好を投影させ、つぎつぎと新機軸を打ち出していく。
巨匠大滝詠一、杉真理との『ナイアガラ・トライアングルVol.2』でのマージー・ビートの追求、ヒップ・ホップの現場ニューヨークでの単独生活、ハモンド・オルガン奏者ジョージ・フェイムとのレコーディング・セッション、そしてジョン・サイモンをプロデューサーに迎えたウッドストック録音など、佐野元春がポップスの本質を探る旅は世界を股にかけて行われた。そう、彼は音楽における冒険者なのだ。
さらに、94年に長年パートナーを務めたバンド、ハートランドとの活動にピリオドを打ち、新たにホーボーキング・バンドを結成。それはこれまでの直線的なビート・ロックから70年代アメリカン・ロックを意識した泥臭いグルーヴへの鮮やかな転身だった。前述したウッドストック録音の『The Barn』は、彼とバンドの最大の成果といえるだろう。
また、この頃からアルバムやライヴなどで東京スカパラダイスオーケストラやプレイグスといったバンドと世代を超えた共演をしたり、『THIS』というイヴェントを開催し、若手バンドを積極的に紹介していく。こうしたことから彼は「伝えられる側」から「伝える側」へ成熟したといえるのかもしれない。そして佐野元春の旅は続く……。
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