杉江松恋の新鋭作家ハンティング グラフィティそのものが小説となった『イッツ・ダ・ボム』
未知の世界を言葉で作り上げている作品を小説として読みたいと思う。 第31回松本清張賞受賞作である井上先斗『イッツ・ダ・ボム』…
未知の世界を言葉で作り上げている作品を小説として読みたいと思う。 第31回松本清張賞受賞作である井上先斗『イッツ・ダ・ボム』…
小説を読むと構造がどうしても気になる。 これは書評をやっている者の職業病に近い。素直に物語を楽しみたい。そう思う反面、作者が…
シャーロック・ホームズの産みの親として知られるイギリスのアーサー・コナン・ドイルは、実はジャンルにまたがって作品を発表し続けた作…
物語の中心が実にはっきりした小説だな、と思った。 『天才少女は重力場で踊る』(新潮文庫Nex)は、ゲームブランド〈Lapla…
たとえ明日世界が終わるとしてもあなたとつないだ手が暖かいことに変わりはない。 池澤春菜『わたしは孤独な星のように』…
何がなんだかわからないがとにかくおもしろい。 その感覚を味わってもらいたいので、五条紀夫『イデアの再臨』(新潮文庫nex)は…
文字通り、無限の広がりを持った小説だ。 田中空『未来経過観測員』(KADOKAWA)を軽い気持ちで読み始め、途中から、おっ、…
この文体にやられたのだ。 間宮改衣『ここはすべての夜明けまえ』(早川書房)に心がざわつかされている。新人の作品に触れることに…
小説に書かれた台詞が胸に突き刺さる。 投擲された槍みたいに、ずしんと刺さるというわけではないのだ。ぐさぐさ、ちくちくと刺さっ…
翻訳ミステリはどのような経緯をたどって現在のように多くの人に読まれるようになったか。その受容史を俯瞰できる本は、意外なことに存在…
どこから一方向からではなく、あらゆる角度から見て人の肖像を描く。 藤つかさ『まだ終わらないで、文化祭』(双葉社)を読んで、あ…
熊も怖いが狼も怖い。 東圭一『奥州狼狩奉行始末』(角川春樹事務所)は、自然と共に生きてきた人間のありように思いを馳せさせられ…
高らかに宣言するような始まり方をする小説である。 日比野コレコ『モモ100%』(河出書房新社)は中学三年生の少女たちがテニス…