作品評の記事一覧
公開中の話題作を中心に、幅広い作品を映画評論家・ライターが徹底レビュー。
宮台真司の『アレノ』『起終点駅 ターミナル』評: 潜在的第三者についての敏感さが失われている
二者関係は潜在的三者関係である 前編では橋口亮輔監督の『恋人たち』を取り上げ、「ナンパ師視点」という特徴を挙げました。これに…
ビル・マーレイがクリスマス・ソングを歌う意味ーーアナーキーで偏屈な名優のキャリアを紐解く
あのビル・マーレイが歌って踊る。この冬Netflix独占放送されている『ビル・マーレイ・クリスマス』はそんなバラエティ・ショー…
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が、ヴィンテージ風の仕上がりとなった理由
「スター・ウォーズ」は、1977年の本国での第一作公開以来、娯楽性の高さから、世界中で多くのファンを生み出し、その影響は映画界の…
女性刑務所の日常はヘヴィーなだけじゃない? 『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』が共感を呼ぶ理由
現在、Netflixでシーズン3まで配信中の『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』は、パイパー・カーマンのノンフィクション小説『オ…
なぜ少女は“おじさん”に恋い焦がれるのか 姫乃たまが『友だちのパパが好き』を考察
この映画は危ないな、と、思いました。 『友だちのパパが好き』という、少女コミックのようなタイトルのこの映画は、ロベルト・シュ…
まさに「ピープル with J.J.エイブラムス」 これぞ、みんなが観たかった『スター・ウォーズ』だ!
さて、「『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』緊急ロングレビュー」と威勢よく銘打ってはみたものの、初日初回上映を観た直後(原稿執筆…
チェス映画は刺激的なものになり得るか? 壮絶な頭脳戦を描く『完全なるチェックメイト』の挑戦
これだけ沢山の映画が作られている時代にもかかわらず、チェスをテーマにした映画は少ない。二人の人物が静寂の中で向かい合って、盤上で…
山田洋次監督は新しい映画を撮っているーー『母と暮せば』が奏でる、伝統と先進の“交響楽”
公開初日、映画館がぎっしりと年配の観客で埋まる。近年の山田洋次監督作ではお馴染みの光景だ。この時代、観客を呼べ支持される映画監督…
ドイツの若き名匠が『消えた声が、その名を呼ぶ』で描く、“隠れた歴史”への壮大なる旅路
今から10年前、英国のミニシアターでとんでもないドイツ映画と出会った。描かれるのはとにかく不器用で、凶暴で、歪(いびつ)な愛。な…
『マイ・ファニー・レディ』に漂う“優しさ”の由来は? P・ボグダノヴィッチ監督の過去から考察
昨年の第27回東京国際映画祭におけるサプライズのひとつは、ピーター・ボグダノヴィッチ監督とオーウェン・ウィルソンの来日だったので…
『 I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』が原作から紡ぐ、小さな幸福の物語
いつも犬小屋の屋根の上に寝そべって小鳥とたわむれたり、タイプライターを打っている、かわいいビーグル犬、スヌーピー。日本ではとくに…
ウォシャウスキー姉弟の新境地! Netflixドラマ『センス8』が伝えるメッセージとは何か
映画『マトリックス』シリーズなどで知られるウォシャウスキー姉弟の最新作『センス8』は、配信サイトNetflixだけで観られるオリ…
ジム・キャリーの真骨頂! 『帰ってきたMr.ダマー バカMAX』に見る、コメディアンとしての実力
ジム・キャリーを代表する作品のひとつが、1994年に公開された『ジム・キャリーはMr.ダマー』である。低予算での制作にもかかわら…
死は誰のもの? イスラエルから届いた問題作『ハッピーエンドの選び方』が突きつけるテーマを考察
死は誰の身にも平等に訪れるものーー。そんな気休めの常套句など百も承知なので、今さら必要ない。そう、必要ないはずなのだが……それに…
異形の超大作『007 スペクター』が完成させる、最強のジェームズ・ボンド
スパイ映画大作が次々と公開された「スパイ当たり年」の最後を飾るのは、娯楽スパイ・ヒーロー映画の代表であり、50年以上の歴史がある…
『黄金のアデーレ 名画の帰還』が伝える歴史の真実、そして戦争責任を巡るメッセージ
グスタフ・クリムトによる代表的な絵画作品、通称「黄金のアデーレ」は、 まさに輝く黄金に包まれた美しい女性の肖像画だ。絵画技法に工…
あの巨匠が月面着陸をねつ造 !? 『ムーン・ウォーカーズ』が紡ぐキューブリック愛
‘69年7月20日、アポロ11号が月面着陸。それは人類史上、忘れがたい歴史的な一日となった。「ひとりの人間にとっては小さな一歩だ…
女性ヒーローが成立する条件とは何か? マーベルと『ジェシカ・ジョーンズ』の挑戦
11月20日にNetflixで全13話一斉配信となったマーベルの新作ドラマ『ジェシカ・ジョーンズ』。先行作品『デアデビル』と同じ…
『サンローラン』が描く、奇才にとらわれた男の人生ーー鮮烈な描写はなぜ生まれたか?
21歳の若さでクリスチャン・ディオールの後継デザイナーとして就任し、独自のメゾンを展開、以来2002年に引退するまで「モードの帝…
「読書」は一夜にして世界を変えるーー『リトルプリンス 星の王子さまと私』のメッセージ
出版から70年以上経って、今もなお世界中で愛されている児童文学「星の王子さま」が、初の劇場用アニメーション作品として、ヨーロッパ…
まさかのオリジナル『ロッキー』超え!? 『クリード チャンプを継ぐ男』が血湧き肉躍る傑作な件
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の公開まであと数週間と近づいて、自分と同世代の40代のリアルタイマー男たちは、メディアで、プ…
“迷走の映画監督”ガイ・リッチーが、最高傑作『コードネーム U.N.C.L.E.』をモノにした理由
『MI:5』や『キングスマン』、そして公開直前の『007 スペクター』など、2015年は次々にスパイ映画が公開され、そのどれもが…
井口昇監督『変態団』が描くマニアの葛藤ーー姫乃たまが13人のフェティシズムと向き合う
もし気になる人とのデートプランに迷っているならば、渋谷のアップリンクまで『変態団』を観に行きましょう。上映開始10秒で、相手との…
ジョージ・クルーニーが『ミケランジェロ・プロジェクト』で描く、国境を超えた「芸術の魂」
第二次大戦中、ヨーロッパのあらゆる財産を略奪、あるいは破壊しようとするナチス・ドイツの魔の手から、価値ある美術品を守ろうと立ち上…
食人ブームの真打『グリーン・インフェルノ』に見る、イーライ・ロス監督の恐怖の原点
人が人を食う…「食人」は文明社会最大のタブーのひとつであり、それゆえにフィクションにおいてキャッチーな題材である。食人は見る者を…