ミニシアターが日本映画界に与えてきた影響を考える  "世界の多様さ"を教えてくれる存在を失わないために 

ミニシアターが与えてきた影響を再考する

 今、映画館が危機に瀕している。

 先々週末の興行成績は前年比90%ダウンという壊滅的な数字を記録した。先週、緊急事態宣言が発出され、首都圏の映画館の多くが休館となった。日本映画始まって以来の出来事だ。

 当然、筆者の人生においても初めての事態である。2週間近く映画館に行かなかったのはいつ以来なのか、覚えていない。

 筆者が毎週のように映画館に通うようになったのは高校時代のことだ。90年代の当時はミニシアターブームだったこともあって、筆者は毎週末欠かさずミニシアターを巡って映画を観ていた(週末どころか学校をさぼって平日も映画館に入り浸っていた)。

 そのミニシアターが今、深刻な状況に陥っている。ほとんどのミニシアターが、潤沢な内部留保を持たない中小企業によって運営されているので、あと数ヶ月持たないというところが相当あるという。

 ミニシアターは文字通り小さな映画館だが、日本映画界の中で果たしてきた役割は決して小さくない。新たな才能を発掘し、様々な国の映画を数多く国内に紹介してきた。マケドニアやギリシャ、南アフリカ、ボリビア、チリ、フィリピン、台湾、イランやトルコなど……高校生時代の筆者にとっては、ミニシアターは世界の窓だった。全体の興行収入に占める割合は決して多くないが、映画文化の多彩さを生み出す重要なポジションを担っていた。

 ミニシアターが苦境に立たされている今、改めてその大切を伝えたいと思う。

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