『リトル・マーメイド』実写版とアニメの違いとは? ヴィランやプリンスの立場に変化

『リトル・マーメイド』実写版での変更点は?

 3月21日の日本テレビ系『金曜ロードショー』にて、ディズニーによる往年の名作アニメ映画『リトル・マーメイド』の実写版が地上波初放送される。

 主人公の人魚姫アリエル役を射止めたのは、黒人歌手としてのキャリアを持つハリー・ベイリー。巨匠アラン・メンケンの象徴的なナンバー「パート・オブ・ユア・ワールド」を始めとした名曲が、ハリーの圧倒的なパワーを持つ美声で劇場に響き渡った記憶も新しい。

 リイマジネーションの基となったアニメ版は1991年に日本公開され、アカデミー賞では作曲賞と主題歌賞を受賞している。ともなれば、作曲を担当したアラン・メンケンが今回の実写でオリジナル歌曲とともに新たに書き下ろしたナンバーにもぜひ触れておきたい。同時に、アニメ版と実写版で異なるキャラクター設定や描写にも言及し、30年の時を経てもなお輝きを失わない、美しくも力強い物語の魅力を語りたいと思う。

 クラシックディズニー作品に親しみがある人には旧知の事実かと思うが、プリンセスとプリンスが出会い、恋に落ちる物語にはヴィランが必要不可欠であり、彼らの存在もディズニー作品を構成する要素として大きいことは言わずもがなである。

 『リトル・マーメイド』にも女性のヴィランであるアースラという海の魔女が登場するが、実写版では彼女とアリエルの父トリトンの間に血縁関係があるとして描かれている。兄トリトンが愛すべき娘たちに慕われ、尊敬されている姿に、孤独なアースラは劣等感に近い感情を抱き、トリトンの持つ力の証であるトライデントを奪おうとする。アニメ版にはなかった“兄妹関係”という抗えない枷があることで、より強い負の感情=ヴィランキャラクターとして“避けがたい負の欲求から来る原動力”を強調していることにも注目して観ておきたい。

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