演劇業界が直面するコロナウイルス問題 すべての劇場に灯りがともることを祈って

 エンタメ業界が揺れているーー。

 新型コロナウイルス感染症対策として政府が出した「要請」により、大規模イベントや公演の“自粛”が続くエンタメ業界。中でもその日その時間に会場へ足を運び体感する「ライブエンターテインメント」の現場では大きな悲しみと混乱とが巻き起こっている。

 Perfumeは2月26日に出された「要請」を受け、この日に東京ドームで公演予定だった『Perfume 8th Tour 2020 “P Cubed” in Dome』の中止を発表。またEXILEもワンマンライブ『EXILE PERFECT LIVE 2001→2020』京セラドーム大阪4DAYSの4日目公演の中止をアナウンスした。

 さらに演劇、ミュージカルの現場では大劇場や公共劇場での公演が続々と中止、もしくは一部期間休演となり、どの主催も払い戻しや振り替えの対応に追われている。

 3月1日には東京芸術劇場・芸術監督の野田秀樹氏が「公演中止で本当に良いのか」との“意見書”を野田地図の公式サイト上にアップし、これに平田オリザ氏、ケラリーノ・サンドロヴィッチ氏らの演劇人たちが“連帯”の意を示す。また、野田氏が意見書の中で述べた「演劇の死」という強烈な表現に対し、さまざまな反応も寄せられた。

 その後、3月10日に安倍首相が大規模イベントなどの開催について、さらに10日間程度の休止を継続するよう求めたため、自粛期間を伸ばす団体も相次いだ。3月18日時点では、劇団四季、宝塚歌劇団、東宝、松竹、梅田芸術劇場、アミューズ、ホリプロ等の大手主催の上演予定作品は、公演休止の状態が続いている。

 この状況はいつまで続くのだろうか。また、各団体のコロナウイルス対策はどうなっているのか。

 公演再開時期に関しては、政府からの次の発表を受け各社再協議という形になると思われる。大規模イベントの自粛要請期間が今以上に伸びなければ、20日以降に幕を開ける作品もあるだろう。

 1000人以上の観客を迎える大手主催は、公演再開に向けて劇場入口にサーモグラフィを配置し、体温が37.5度以上の人は入場不可、アルコール消毒スプレーの設置、劇場内スタッフのマスク着用、換気の徹底、来場者への咳エチケットのお願いなど、現状考えられるコロナ対応策をそれぞれ発表。

 かわって中規模、小規模の劇場公演については、各団体の判断にゆだねられている場合がほとんどで、コロナウイルス対策の具体的なアナウンスを行いながら上演を続けるカンパニーもあれば、やむなく公演を中止する団体もある。

 この状況を言葉を選ばずに表現すれば「進むも地獄、戻るも地獄」である。

 公演中止になった場合、主催団体は観客にチケットの払い戻しを行い、その上で(契約内容にもよるが)公演のために押さえた劇場費等も負担する。

 さらに俳優やスタッフは公演中止や一部休止の際、当初予定されていたギャランティを満額受け取れない場合が多い(これも契約内容による)。コロナ対策を行いつつ、公演を行う団体も事態は深刻だ。

 現状、上演を続けるほぼすべての団体は、来場が難しい前売りチケット購入者に対して払い戻しの対応を取っている。通常ならば満席になるような作品も、この騒動で客足が落ち込んでいる上に、スタッフ用のマスクや消毒スプレーなどの購入にかかる費用もばかにならない。某劇団に所属する知人は、これまで長く応援してくれていたある観客から「こんな時に上演を続けるなんて非常識だ!」と非難の言葉を浴びせられたのが1番ツラいと泣いていた。

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ディレクター分析」の最新記事

もっとみる