生きづらさを抱える少女が宇宙飛行士コマンダーを目指す マンガ大賞2025『ありす、宇宙までも』が描く希望

犬星が半ば勝手に申し込んだ宇宙飛行士選抜試験ワークショップ中学生の部での試験会場で、同じチームになったメンバーからふいに言われた「かわいい」という言葉に対して、「かわいいは良い言葉って知っているけど、赤ちゃんって思われているみたいで、何もできないみたいな感じがしてイヤ」と自分の心の底にあった想いを伝えることを実践できるようになった。
ありすの成長を目の当たりにすることで、自分を後押ししてくれる存在が隣にいることが、何よりの力になるということを再認識させてくれる。大きな夢を持つことは勿論素晴らしいことだが、他者を信じ、その背中を自分の出来る精一杯で後押しできることにも大きな意味があるのだ。
第3巻ではありすの背中を支え肯定し続けている犬星が、ありすを種子島に連れて行くために大切な自分の本を売って2人分の旅費を工面しようとするエピソードが描かれている。その中で犬星の父親が登場し、息子に対してある言葉をかける感動のシーンがある。
詳細はぜひ本作を手にとっていただきたいところだが、ありすを支えている犬星もまた、他の誰かに支えられているのだということを深く実感出来る。1人ではないからこそ、強く優しくなれるのだ。
『ありす、宇宙までも』は1人の少女が大きな夢を叶えるまでの壮大な希望が描かれた作品であり、相対するキャラクター同士が互いを理解し高め合う関係性の物語でもある。ありすと一緒にいつか最高の景色を観られることを楽しみに、どこまでも追いかけ続けていきたい。





















