『呪術廻戦≡』は廻る“呪い”を断ち切る物語 虎杖の存在で際立つ「共生」のテーマ

※本稿は『呪術廻戦≡(モジュロ)』のネタバレを含みます。同作を未読の方はご注意ください。(筆者)
2024年9月、人気絶頂のまま連載終了した芥見下々の『呪術廻戦』(集英社)だが、現在、TVではアニメシリーズの第3期にあたる『呪術廻戦 死滅回游 前編』(MBS/TBS系列)が放送中、また、「週刊少年ジャンプ」本誌では、岩崎優次(作画)によるスピンオフ・コミック『呪術廻戦≡(モジュロ)』が連載中だ。
いずれもいま最もアニメファン、漫画ファンが注目している作品の1つだといっていいと思うが、とりわけ後者の勢いはとどまるところを知らず、ついに(これまで名前のみが出ていた)『呪術廻戦』本編の主人公・虎杖悠仁が登場――「週刊少年ジャンプ」2026年12号掲載の第22話では、かつての宿敵・真人相手に圧倒的な強さを見せつけ、多くのファンの度肝を抜いた。
テーマは「共生」
『呪術廻戦≡(モジュロ)』の序盤の舞台は、2086年の京都(『呪術廻戦』本編から68年後の世界)。「シムリア星人」を名乗る地球外生命体(約5万人)が、地球に難民として保護を要求してきていたのだが、米国および日本の政府は(ある理由から、日本はこの手の「外交」事案を一任されている)、まだその事実を隠している。
主人公は乙骨憂花(16)と、その兄の真剣(17)。伝説の呪術師・乙骨憂太と禪院真希の孫たちであり、いまは、呪術高専の生徒として、“実戦”の現場にも投入されている。
そんな2人は、ある時、呪詛師が絡んでいると思われる子供たちの誘拐事件の捜査を命じられる。さらに、「外国人」(国籍は不明)の呪術師「マル」こと、マルル・ヴァル・ヴル・イェルヴリ(彼もまた、この物語の主人公の1人である)とも組むようにいわれるのだが、実はこのマル、正体は、地球人と「共生」できるかどうかを調べるために潜入しているシムリア星人であった……。
廻る“呪い”を絶つためにできることは
現在発売中のコミックス第1巻では、憂花と真剣のそれぞれの葛藤と努力、そして目標が描かれ、それと同時に、マルの双子の弟・クロスも登場、シムリア星人側の“思惑”も徐々に明らかになっていく。
一見、うまくやっていけるかに見えた地球人とシムリア星人だったが、第7話のラスト、憂花からある秘密を打ち明けられたクロスは、彼女に本音をぶつけることになる。「貴様らがこれから曰(のたま)うであろう『共生』は、『地球に迷惑をかけずに暮らせ』だろう!! いつまでだ!! 我々はいつまで!! 地球人の顔色を窺って暮らせばいい!! そんな惨めな生活を何年何十年と歩むくらいなら、私は奪うぞ!!」
この言葉に対し、憂花はこう答える。「いつまで奪うの? 人を憎むのも、人から奪うのも、簡単だよ。だから繰り返しちゃうんでしょ? そんなの私達で終わりにしようよ」
果たして、この先、地球人とシムリア星人は「隣人」として「共生」できるのか、あるいは、「敵」として「対立」してしまうのか。
思えば、『呪術廻戦』本編も、その前日譚である『呪術廻戦0~東京都立呪術高等専門学校~』も、物語の最大のテーマは、「異類との“共生”」であった。前者の主人公(虎杖悠仁)は「両面宿儺」、後者の主人公(乙骨憂太)は「里香」という恐ろしい“呪い”をいかに受け入れるか、その葛藤と決断が、彼らの成長を大きく促すことにもなった(特に、『呪術廻戦』のクライマックス――消滅していく宿儺に向かって、「共生」を呼びかける虎杖の姿は感動的でさえある)。
いずれにせよ、大事なのは、憂花のような「私達で終わりにしよう」というポジティヴな考えだと私は思う(とはいえ、物語は、このあと彼女の思いもよらぬ方向へと進んでいくのだが……)。
あらためていうまでもなく、国(環境)が異なれば、そこで暮らす者同士の価値観も異なるもの。だが、その価値観の違いから生じる違和感を、「憎しみ」や「恐れ」ではなく、「融和」の精神で払拭しようとするのが、大人な対応というものではないだろうか。
『呪術廻戦≡(モジュロ)』は、世界各地で争いの絶えないいまこそ、多くの人たちに読んでほしい一作である。
























