【漫画】種族が違えば争うのは必然か? “人”と“鬼”のアウトサイダージャーニー『鬼時代』

鬼と人が“共存”する世界で、妹を探す旅が始まる――。漫画『鬼時代』の第1話がXに投稿され、4000を超えるいいねを集めた。
房総半島を舞台にした異形の世界観と、善悪を単純化しない物語はどのように構築されたのか。連載に至るまでの試行錯誤や創作観、作画へのこだわりについて作者・東さん(@azuma7856)に聞いた。(小池直也)
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――いいねが4000を超えていますが、これについていかがです?
東:「ヤンマガWeb」での連載における第1話を転載しました。反応がよくて嬉しいです。同人で活動していた頃は、独自の世界観すぎて何が起きているか理解しづらいと言われることが多かったんですよ(笑)。
それを経て、本作では担当編集の方からのアドバイスで余分な描写を削ぎ落とし、物語の定石を崩さずにまとめられたなと思います。
――鬼と人間が共存する、というアイデアについては?
東:成敗される側にも生活や家族がいたりする、という内容にすればもっと深みのあるストーリーにできると思ったんです。ただの勧善懲悪ではないというか。強くて悪くて怖い奴らですが、色々な事情がある方が大人も感情移入しやすい。それも考えて人間に角があるかないか、くらいに留めています。
――そこは定石を崩されているのですね。
東:制作倫理のバランスですね。やってはいけない部分は守るけど、それ以外は思いっきりやる。そこは自分の特徴かもしれません。魅力的な敵キャラ像を提示できるのがいい漫画かなと。
――房総半島を舞台にされた理由は?
東:「千葉県」という身近な場所でありながら別世界、という奇妙な設定にしたかったんです。一時期、実際に住んでいたこともありますが、一般的な日本の風景というイメージがありますね。地理的にも「上は鬼が支配していて、下側に人間がいる」としたら、読む人にとってもわかりやすいですし。
――超兵器「敷の戸」が登場するのも興味深かったですが、これについては?
東:戦局をリセットしてしまうほどの究極の兵器は何か、と考えたときに普通の爆弾とかじゃダメなんです。一振りで鬼軍勢の下半身を両断するわけですが、その前段階として服を切って鬼を半裸にしてしまうんですよ(笑)。コミカルな場面ですけど、この兵器の持つ精密性や隠密性をよく表した場面でもあるんです。
あと意識したのは、現実と虚構を分けるとされる「第四の壁」。いきなり鬼の裸が出てくるような、思わず読者が「今の必要ないだろ」とか「うわっ」と感じる瞬間こそが、その壁が揺らいだ瞬間でもあって。
作者/読者という大いなる狭間を攻撃可能なんて最強じゃないですか。ただの破壊力競争ではない、メタ次元の武器なんです。だから作中でそう何回も使われることはないと思いますね。その緊張感も楽しんでもらいたいです。
――興味深いです。作画のこだわりはありますか。
東:なるべく色々な方向から、ひとつのものを描くことは意識しています。顔を上下左右から映すことで、その人物が実在しているかのように感じるので。それが自分にとってのテーマ。だから制作時間は長いです。本作でも結構な数の休載をいただいたので、生産性を高めるのが個人的課題です。
それから画用紙とペンで書くのもこだわり。デジタル画では得られないテクスチャーが出るんですよね。本作は血が飛び散ったりしますが、そういう描写の迫力が全然違います。
――単行本も1巻が発売されましたね。
東:ウェブ連載だと途切れ途切れになってしまうんですよ。最新回を読むときの「前回はどんな話だったっけ?」というリセットがないので、単行本で読んだ方が断然面白いです。自分でも驚きました(笑)。ぜひ紙で読んでください。























