リアルライブの価値を高める多機能性 Sphere、The Bellwetherなど没入感やファンとの繋がり強化するアメリカの新ベニュー
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ロックとは? バンドとは? ——常にシリアスな問題提起を掲げ、音楽的冒険を繰り返しながらも、圧倒的にユニヴァーサルな成功を獲得した奇跡のグループ、U2。ボノ(vo)、エッジ(g)、アダム・クレイトン(b)、ラリー・ミューレン(dr)という鉄壁の布陣から成る。
76年にアイルランドはダブリンで結成。80年、『ボーイ』にてシーンに登場する。パンク/ニューウェイヴの息吹を十分に吸い込んだ煽動的かつストイックなサウンドを展開。そして、「ブラッディ・サンデー」「ニュー・イヤーズ・デイ」など、彼らの代表曲を収録した83年の衝撃作『WAR(闘)』にて爆発的支持を獲得していく。ここで聴ける、エッジ特有のディレイ・エフェクターを多用した硬質で切れのいいギター・プレイはロック史における一つのハイ・ライトと言えよう。
イギリス/アイルランドを代表するグループとなった彼らは、84年の『焔(ほのお)』にて大胆な音楽性のシフト・チェンジを計る。プロデューサーにブライアン・イーノ、ダニエル・ラノアを招聘し、ロックンロールの聖地アメリカ南部へのオマージュ的要素が色濃いサウンドに挑戦した。ブルース/カントリー/R&R……の要素がU2という名のメルティング・ポットのなかで溶け合い、従来のそれとはまったく異質な感触のロックのニュー・スタンダードを生みだしたのだ。そして、前作のルーツ探求の流れを発展/普遍化させた87年の『ヨシュア・トゥリー』のメガ・セールスで全世界のロック・シーンの頂点に登りつめたのであった。
その後も、グレイテスト・ロック・バンドの座に安住することなく大胆な変化を遂げていく彼ら。まず、91年にエレクトロニック・エレメントをふんだんに取り入れた『アクトン・ベイビー』を発表し、新境地へと突入。93年には、ロック・スターU2をあざ笑うかのごとく自嘲的なテイストに覆われた『ZOOROPPA』にてエレクトロニカ路線を強化。その反面、U2節ともいえる真摯でエモーショナルな風情は大幅に後退し、往年のファンを困惑させたのであった。がしかし、97年の『ポップ』にて、『アクトン・ベイビー』より続く新たなるチャレンジは一定の成果をあげた。大ヒット・ナンバー「ディスコティック」が象徴するように、エレクトロニカなフレイヴァーを全面に出しつつも、結果としては大衆的な味わいのポップ・フィールドにソフト・ランディング。"先鋭性"と"U2らしさ"が同居した傑作といえるであろう。
こうして、20年近くに渡り"ロック探求の旅"を続けてきた彼らは、00年に『ヨシュア・トゥリー』の匂い漂う原点回帰的色合いの濃い『オール・ザット・ユー・キャント・オール・ビハインド』を発表。声/ギター/ベース/ドラム、すなわち"うたとバンド演奏"が生み出すロック的ダイナミズムを再確認したのであった。……実に感動的なアルバムである。
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