Ado「日本の音楽の強さを伝えたい」 グラミー賞へ懸ける思い、2度目のワールドツアー直前に何を語る?

Ado、グラミー賞へ懸ける思い

 「うっせぇわ」での鮮烈なデビューから、4年が過ぎた。そして5年目の今、ほぼ全曲集とも言える40曲収録のベストアルバム『Adoのベストアドバム』がAdoから届いた。「うっせぇわ」「阿修羅ちゃん」「唱 」「踊」といった時代の代表曲とも言えるナンバーから、バラード「向日葵」「エルフ」、ふたつの新曲「わたしに花束」「ロックスター」まで、Adoの軌跡そのものとも言える作品である。このリリースを経て、Adoは2度目のワールドツアー『Ado WORLD TOUR 2025 “Hibana” Powered by Crunchyroll』の航海へと出ることになる。

 その『Adoのベストアドバム』発売を前に、メディアに向けた合同取材会が行われた。デビュー5年目のAdoは、全33都市、動員数は50万人超という日本人アーティスト最大規模のツアー開催直前に何を思うのか、じっくりと語ってくれた。より一層世界へ向けて走り出していく、そんな決意をあらためて示して――。(編集部)

『Adoのベストアドバム』クロスフェード

さいたまスーパーアリーナ公演は「本当に自分の人生にも大きく影響を与えた」

――メジャーデビュー以降、特に印象に残っている出来事はなんでしょうか?

Ado:たくさんの思い出がありますが、特に印象深い出来事としては、2022年にさいたまスーパーアリーナで行ったワンマンライブ『Ado 2ndライブ「カムパネルラ」』はやはりはずせないものかなと思います。(当時の)自分のいちばんの夢でもあったさいたまスーパーアリーナでのライブが叶ったという、本当に自分の人生にも大きく影響を与えた、そんな一日だったので。メジャーデビューしてからの思い出のなかでも、すごく印象深く残っております。

Ado 1st LIVE Blu-ray & DVD『カムパネルラ』Teaser

――『Ado のベストアドバム』には「わたしに花束」と「ロックスター」の新曲がふたつ収録されています。それぞれどんな曲になっていますか?

Ado:「わたしに花束」は、ジョージアさんとのタイアップ楽曲で、HoneyWorksさんに書き下ろしていただきました。出勤前や学校に行く前など、頑張りたい時に聴いていただきたい楽曲です。皆さまの背中を押してくれるような元気にあふれた素敵な一曲となっておりますので、たくさんの世代の方々に聴いていただきたいという思いがあります。

【Ado】わたしに花束

 もう一曲「ロックスター」は、私の楽曲ではおなじみとなってきました、jon-YAKITORYさんに書き下ろしていただきました。こちらは丸紅さんとのタイアップで、現在もCMで放映されております。私はこれまでにもjon-YAKITORYさんに楽曲(「FREEDOM」)を書き下ろしていただいたり、jon-YAKITORYさんの曲に私がフィーチャリング参加して歌わせていただいたり、「ロックといえば」という曲でjon-YAKITORYさんにお世話になっていて。CMのなかではライブで「ロックスター」を歌う描写がありますので、ライブ映えするような、聴いていて心が燃えたぎるような、ものすごくかっこいい楽曲だと思っておりますので、私もいつか「ロックスター」をライブでやることをとても楽しみにしております。

【Ado】ロックスター

――4月から、2度目の世界ツアー『Ado WORLD TOUR 2025 “Hibana” Powered by Crunchyroll』が開催されますが、今のお気持ちはいかがですか?

Ado:日本人アーティストとしては今までにない規模ということで、私自身は楽しみな気持ちでいっぱいですし、30都市以上の公演のなかで日本人アーティスト/歌い手として世界の皆さまに日本の魅力や文化、日本の音楽の強さを伝える、そんな存在として――『Hibana』というタイトルのように、大きな火へのひとつのきっかけになる、そんな世界ツアーにできたらいいなと思っております。

Ado WORLD TOUR 2025 “Hibana” Powered by Crunchyroll

日本語だけでなく、いろいろな言語で歌を歌いたい

Ado『Adoのベストアドバム』
『Adoのベストアドバム』

――5年間の活動のなかで、制作やライブといった部分において変化した、成長したと感じるのはどんな点でしょうか?

Ado:考え方が、5年間の活動のなかで変わってきた部分が大きいと思います。自分の活動や自分自身のことを客観視することが増えました。視野が広がり、自分がいる環境について、一つひとつ見直したり、ファンの皆さまや支えてくださるスタッフの方々などのご意見を踏まえたうえで、活動と向き合う機会もここ最近は多くなってきましたので、以前よりは心境としては落ち着いた部分も増えたのかなと思っております。

――ご自身で昔のライブ映像を観て感じる変化はあったりしますか?

Ado:ライブパフォーマンスも成長したのかなと思います。デビュー当時はたどたどしい部分があったり、ぎこちない部分があったり。でも、ありがたいことにたくさんのライブをさせていただけて、場数を通して成長した実感もあり、今のライブのほうが見応えがあると思います。逆に昔のライブでしか感じられない幼さですとか、自分の未熟な部分が見えて、ファンの皆さまには、私の成長を楽しんでいただけるのかなと思っております。

――本作には全40曲が収録されています。収録曲のなかでデビュー当時の自分に聴かせたい曲はありますか?

Ado:選ぶのがなかなか難しいところではありますが、ディスク2の20曲目「桜日和とタイムマシン with 初音ミク」は、デビュー当時の自分に聴かせたい一曲ですね。それぐらい私のなかで特別な楽曲です。憧れの歌い手である、まふまふさんに書き下ろしていただいたもので。私はずっとボカロ楽曲に支えられて今に至るので、私がずっと大好きな初音ミクさんと一緒に歌えたことは、自分の原点でもあるような、原点に帰るような楽曲でもあります。デビュー当初の自分に聴かせたら、ものすごく感動するのではないかな、と。感動しすぎて横転してしまうんじゃないかなと思います(笑)。

【Ado】 桜日和とタイムマシン with 初音ミク

――アーティスト活動を始めてから、歌に対する気持ち、意識はどう変化していきましたか?

Ado:メジャーデビューをした頃やする前は、「自分の歌を聴いてもらいたい」「自分の思いや考え、自分というものを見てもらいたい」という思いが強くあって。怒りの感情だったり、感情をそのまま伝える部分が大きかったのですが、いろんな楽曲を歌っていくのにつれて、気持ちの寄り添い方や歌詞によって歌い方も違ってくるので、自分の人生観を振り返ったり、自分の経験を歌に当てはめたりして。いろんな経験をして、いろんな感情と向き合う機会が増えました。最近は、インプットとアウトプットというのは変わらず大事にしておりますが、歌に対しては「いろんな歌を歌えるようになりたい」という気持ちがあります。バラード然り。なかでも「エルフ」は、Adoの活動のなかでも、より幅広い方々に楽しんでいただけるような楽曲、歌い方にもなっていると思いますし。日本語だけでなく、いろいろな言語で歌を歌いたいという気持ちも高まってきました。

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