香取慎吾のダンスはなぜ人を惹きつけるのか? 踊ってみた動画に溢れる、心からの”好き”

 香取慎吾のYouTubeチャンネルでは現在、過去動画の総集編が続々とアップされている。2025年の始まりは、ドラマ『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』(フジテレビ系)の主演を務めたことで大忙しだった香取。4月11日にアップされた動画「帰ってきたぜ!YouTube!!香取慎吾から重大発表!?【Hoodies】」(※1)によると、スケジュール的にYouTube動画の撮影が厳しく、更新を止めないためのやむを得ない策だったようではあるが、気づけばすぐに多くの情報の波に流されてしまうSNSにおいて、むしろ香取の活躍を振り返る絶好の機会にもなった。

【香取慎吾】これまでの「踊ってみた」シリーズイッキ見!

 中でも3月28日にアップされた動画「【香取慎吾】これまでの「踊ってみた」シリーズイッキ見!」は見応え十分。タイトル通り、香取がさまざまな楽曲を“踊ってみた”ショート動画が25本もまとめられているのだ。J-POP、K-POP、洋楽のヒットソングにとどまらず、VTuberの楽曲、SNSで大バズりした曲にマイケル・ジャクソンの名曲まで。まず、その守備範囲の広さに驚かされるばかり。流行りの楽曲に合わせて踊る……多くの人がトライしている企画なのに、なぜ香取がやるとこれほど見甲斐のあるコンテンツになるのだろうか。

 香取は近年、自身のアルバム制作においても多彩なジャンルのアーティストたちとフィーチャリングしていることでも知られている。ドラマ『日本一の最低男』の主題歌となった「Circus Funk (feat. Chevon)」も、2021年に結成されたばかりの北海道発のスリーピースバンド・Chevonを抜擢したことでも話題に。多忙を極める香取が若手アーティストを知るきっかけは、アート活動中にBGMとして流すサブスクや、一緒にステージを作るダンサーやスタッフなど周囲の人からのおすすめだそう。

 突然、香取に見つかり、あれよあれよという間にともに一緒に曲を作って歌うことになったChevonは、YouTubeにアップされた「Circus Funk (feat. Chevon)」MVのコメント欄に「ひょっとするとこれは夢なのかもしれない。ハッと目が覚めるとそこはベッドの中で、こんな世界とは無縁の、うだつの上がらぬ生活をする現実の自分が居るのではないかと何度もそう思ってしまうほどでした」と記している。そして、そんなChevonに「慎吾さんは何度もこっちが現実の方なんだよ。Chevonは凄いんだよ。僕が君たちを見付けたんだから。これからも僕がついてるから大丈夫なんだよ」という言葉をかけ続けたとも。

香取慎吾 「Circus Funk(feat. Chevon)」Music Video

 “パーフェクトビジネスアイドル”を自称する香取は、自分の持つ影響力を十分に理解している。だからこそ、最近の香取を見ているとまるで“香取慎吾”という画材を使って世界にどんな彩りを添えようかと考えているようだ。新進気鋭の才能を世の中に広めたり、あるいは往年の名曲を今の時代にリバイバルさせたり……。“踊ってみた”動画もソロアルバムも、香取自身の作品であるのと同時に、世界にはこんなにもいいものがあるんだと私たちに教えてくれるように思う。

 振り返ってみれば、香取はアイドルとして長年私たちにさまざまなことを伝えてきてくれた。その中でも、国内外のアーティストたちとコラボし、そんな音楽があるのかと教えてくれる場面も少なくなかった。“踊ってみた”動画は、テレビからSNSへと場所を変えてもなお、その楽しさを変わらずに届けてくれる香取のアイドルマインドの表れとも言えるのではないか。

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