iPhone6発表と同時にU2の新アルバム無料配信 バンドとAppleの狙いとは?

 米Apple社は9月9日(現地時間)、iOS搭載スマートフォンの新モデル『iPhone 6』と大画面化した『iPhone 6 Plus』、さらに時計型ウェアラブルデバイス『Apple Watch‎』を発表。さらに、ロックバンドのU2がこの発表カンファレンスに登場し、ミニライブを行うとともに、新作『Songs of Innocence』をiTunesユーザー限定で無料先行配信することも明かし、音楽業界内外で大きな波紋を呼んでいる。

 今回の先行配信の特徴は、先行販売や通常の無料配信とは異なり、iTunesを利用しているユーザーのライブラリに同作が自動的にラインナップされ、ダウンロードへの誘導口が用意されている(iTunesMatchを使用しているユーザーは自動ダウンロードされる)という点にある。AppleとU2は、なぜこのような異例ともいえる施策を行ったのだろうか。音楽ジャーナリストの柴那典氏は今回の前提として、同社と同バンドの深い関係を挙げる。

「U2とApple社は、メンバーと故・スティーブ・ジョブズと親交が深かったこともあってか、2004年10月27日にパートナーシップ契約を結んでおり、シングル『Vertigo』は同社のCMに起用され、iTunes Store限定での販売も行っています。また、アルバム『How to Dismantle an Atomic Bomb』の発売に合わせ、『iPod(R) U2 Special Edition』を販売するなど、互いに強固な絆で結ばれています。これはブランド戦略的にも、U2という世界的なバンドを独占で使えるという強みでもありますし、U2側にとってもバンドイメージを損なわずに広く新作を届けることができる、どちらもプラスになるブランドタッグです。また、U2が登場するということは、Apple社にとっても大きなことをするタイミングだという意味合いが強い。カンファレンスで久しぶりに『One More Thing』というフレーズとともに『Apple Watch‎』が発表されたことは、それを表しているように思えます」

 また、Appleの今回の施策には、iTunesの利用方法やイメージを変えようという意図があるのではないか、と柴氏は続ける。

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