King Gnuはこの“4人”だ――強い生命力に満ちた音の重なりと合唱 ライブハウスツアーの熱狂、そのすべて

King Gnuとは、温かいバンドなのだ。この4人が集まって音楽を奏でている時だからこそ生まれる、激しくて、切なくて、恍惚としていて、それでいて包み込むような優しさがあるのだ。そういうことをあらためて思い出したライブだった。

King Gnuが今年2月から開催してきたファンクラブツアー『KING GNU LIVEHOUSE TOUR 2025 CLUB GNU EDITION』。その追加公演であり、ツアーファイナルとなる4月9日東京ガーデンシアター公演を観た。
ライブ全体としてはアンコールも含めて120分に満たない時間だったが、物足りなさは一切なかった。むしろ派手さはありつつも余計なものは削ぎ落とされ、ギュッと凝縮した濃密なエネルギーを浴びつつ、じんわりとした感動に身を浸すことのできる、そんな素晴らしいライブだった。開演前の新井和輝(Ba)によるナレーションから観客たちの熱気は高まり、「):阿修羅:(」でライブの幕が上がると、強烈な音塊とレーザー照明に空間は一気に満たされていく。続いて「Flash!!!」、「Sorrows」、「あなたは蜃気楼」と立て続けに披露。私は2階席から観ていたのだが、覗き込めば1階フロアの観客たちも、まわりを見渡せば2階や3階や上のほうの席の観客たちも、みんな思い思いに拳を振り上げたり、一緒に歌ったりしている。東京ガーデンシアターは劇場型の会場で、言わば“すり鉢状”の形状になっている空間だが、だからこそ、熱狂が渦になって空間を循環するように高揚感が生まれていくのを感じる。


こんなにもヘヴィな演奏とハイパーな照明演出を放ちながら、観る者を支配したり、威圧したりするようなところが一切ない。安心して、彼らが操る時間の流れに身を任せたいと思える。そう思わせるステージ上の4人の佇まいに、今のKing Gnuが背負うものの大きさと、そこに向き合う4人の繊細さと品性を感じる。きっと存在が巨大になっていくことだけが目的だったわけではなく、巨大になっていくなかでも大切なもの、守るべきものを見定めるということが、彼らにとって大切なことだったのだ。それを絶妙なバランスでやり遂げ続けている彼らは美しい。

