三代目JSB 小林直己、40代を迎えた等身大の自分 ダンス、映画、アート、紅茶が積み上げる一つの道

EXILE / 三代目 J SOUL BROTHERS・小林直己が、40代の節目を迎えた等身大を表現する1st写真集『Art & Age』を4月2日に発売する。本作には、オリジナル楽曲「ヨンジュウ」が収録され、活動領域の広がりを見せる。発売を記念するインタビューでは、年齢を重ねることの楽しさや「纏う空気が美しい人になりたい」というビジョンなど、今後の活動に向けた思いを聞いた。(加賀谷健)
「思っていたことを具現化した」第1弾としての写真集『Art & Age』

――2020年に行われた哲学者・千葉雅也さんとのリモート対談で、小林さんが「次に何を表現していこうかなっていうのは今改めて時間をとって考えている最中」と発言していたことを記憶しています。あの対談からさらに5年近く経ち、今回の1st写真集『Art & Age』が一つの集大成を結んだということでしょうか?
小林直己(以下、小林):確かにそうだと思います。千葉さんとの対談はコロナ禍でライブ配信されました。物理的にライブが開催できず、世の中全体が大きく変化しました。これまでのやり方では難しくなる現状に対して自分の存在意義や方法論が一度リセットされた気分で、一つひとつ手探りで確かめながら試行錯誤していました。その延長線上で今、定まってきたものを頼りに何をしたいか考えた時、「あれもやりたいなこれもやりたいな。あれができるならこんなこともできるな」とワクワクする気持ちが湧き上がってきました。40歳になったこともきっかけの一つです。『Art & Age』は、まさにあの対談の時期から今にいたるまでに思っていたことを具現化した第1弾だと思います。
――2021年には半自伝的な初のエッセイ『選択と奇跡 あの日、僕の名字はEXILEになった』(以下、『選択と奇跡』/文藝春秋)を発売しました。『Art & Age』では今度はビジュアルで小林さんの哲学が表現されたのでしょうか?
小林:『選択と奇跡』は文字で表現していますが、今この瞬間の自分を表現することをテーマに考えた時、写真集という表現がいいと閃きました。今回の作品はビジュアルにこだわりながら形にできました。
――撮影地は小林さんが20歳前後で初めて訪ねたニューヨークです。今回写真集を作ると決まった瞬間からニューヨークにしようと思っていたんですか?
小林:カメラを向けられたら、よく見せたいという気持ちが働きます。そういう部分も自然のこととしてありつつ、できるだけ構えていない今の素の自分を伝えられ、撮ってもらえる場所がどこだろうと考えた時、それはニューヨークだとすぐに思いました。ニューヨークに行くといつも刺激的で、ワクワクしてさまざまなことに挑戦したいと思える場所です。

――それ以降度々ニューヨークを訪ねているかと思いますが、改めて20年経って40歳で再度訪問したニューヨークの印象はどうでしたか?
小林:変化は大きかったと思います。初めて訪れた時は、カルチャーショックに溢れ、好きなダンス音楽が生まれた場所であり、そこに住む方々の空気感を肌で感じました。今回の撮影では観光客よりもう一歩内側に入ることができたかなと思います。現地のカメラマンと何がどこにあるのかスムーズにコミュニケーションできるくらい土地勘があったからです。
――今回は何日間で撮影しましたか?
小林:2日間です。朝から撮影してすぐに移動。撮影が押せば、次の場面を大胆にカット。合間のランチは撮影隊全員でローカルなレストランでパッと食べる。意外とそれがとても美味しいんです。全て撮り終わった後、ワンカットだけ撮りに行った駅の場面が表紙カットになりました。機動性があるこのチームだからできたことです。写真集にはそうした空気感もうまく載ったかなと思います。

――冬のニューヨークでの撮影はかなり寒かったと想像しますが。
小林:マイナス10度を超える極寒でした。本当に歯がガチガチふるえ、撮影中は気合いでふるえをとめた間に撮ってもらいました(笑)。特に海辺で犬とダッシュする撮影ではかなり薄着でしたし、犬が興奮して海に入っちゃうんですよ。それをなだめながら信頼関係を築きました。バスタブの撮影では、当日お湯が出ないというハプニングまでありました。さらにタイムズスクエアでの撮影では強風が吹き荒れ、日本からたくさん持ってきたカイロが全く効かず……。
一方で、雪が残っている冬の季節の空気はとても澄んでいました。木々の葉っぱに差し込む光がしっかり線を描いていて、コントラストがとっても美しかったです。体感として撮影があっという間に感じるくらいの極寒ですが、かえって街の美しさは際立った。だから冬の撮影でよかったなと思います。