『ブギウギ』演出陣もキャスティングに絶対の自信 澤井梨丘&又野暁仁、起用の意図を聞く
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』が10月2日にスタートした。“ブギの女王”と呼ばれる戦後のスター・笠置シヅ子をモデルとした本作は、激動の時代の渦中で、ひたむきに歌に踊りに向き合い続けた歌手・花田鈴子=福来スズ子(趣里/澤井梨丘)の笑いと涙の物語。
演出の福井充広は「今までの朝ドラとは比較にならないくらい、圧倒的にエネルギッシュなドラマを作りたい」と意気込み、ドラマの目標となる3つの大きな柱として「エンターテインメントの力」「雑草魂」「母と娘」を挙げる。
「笠置シヅ子さんの人生がとにかく波乱万丈で、ドラマ以上にドラマらしい。いろんな不幸も経験されていますが、歌の力を借りつつ、それを跳ねのけていきます。レストランに飾られている綺麗なお花ではなく、道端に咲いている雑草。踏まれても踏まれても太陽に向かって伸びていく雑草魂、そういったキーワードをスタッフ間で共有して撮影に臨んでいます」とし、「父母から大きな愛情を受けて育った鈴子が、やがて自分も娘を出産します。そのとき、自分の子どもとどう向き合っていくのか」と3つの柱について解説した。
大阪にある銭湯の看板娘・鈴子は、個性的な人々に揉まれ、両親の愛情に包まれ、やがては昭和の大スターへと成長する。福井は「第1週では、この親があって、この子どもが生まれたんだ。こういう人たちがいたから、エネルギーに溢れた人格が形成されたんだ、という部分をしっかりと描きたかった」と語る。
鈴子の少女時代を演じるのは澤井梨丘。第1話が放送されるなり、のちの鈴子を演じる趣里にそっくりだと話題を呼んだが、約700人の応募者の中から選ばれた。
「最初に見たときから『趣里ちゃんに似てるぞ』と大注目していましたが、お芝居も歌も素晴らしくて、僕らの間では即決でした。朝ドラの“つかみ”として幼少期の主人公は非常に大切で、その部分において『これでいけるぞ』という印象を持ちました」(福井)
実は、澤井が連続ドラマに出演するのは今回が初めて。だが福井は「いわゆる判を押したようなお芝居じゃないんです。彼女の感性で、リアクションや大人との掛け合いができる。本当に純粋無垢な、無邪気な女の子としてカメラにお芝居を収められたところが、すごく大きいです」と澤井の表現力を絶賛する。
その純粋さで現場の空気を柔らかくしていたという澤井だが、画面に映る天真爛漫な鈴子と父母とのやり取りは痛快そのもの。
「初めての経験で、柳葉敏郎さん、水川あさみさんという大先輩を前に、普通だったら緊張して自分の実力を発揮できなかったりすると思いますが、そういったものがまったくなかったですね。去年の秋から毎週土曜日、日曜日に稽古をしてきて笑顔が絶えなかったんですが、スタジオに入ってからも、そのときの雰囲気と変わらないんです」(福井)
鈴子を演じるにあたり、やはり肝となるのは歌と踊り。福井は「彼女はお母様も歌が上手で、よく家族でカラオケに歌を歌いに行くと。そういった下地もあって歌は素晴らしかったですし、踊りももともとバレエ教室に通っていました。お芝居、歌、踊り、それと人柄……奇跡の組み合わせですね」とこれ以上ないキャスティングに自信を見せる。
『舞いあがれ!』朝陽くん役で朝ドラ4作目 子役・又野暁仁の起用理由を制作統括が明かす
『舞いあがれ!』(NHK総合)第12週「翼を休める島」にて、舞(福原遥)と貴司(赤楚衛二)が五島で出会う少年・朝陽(又野暁仁)。…
一方、鈴子の弟・六郎を演じるのは、『舞いあがれ!』で都会の学校に馴染めず五島へやってきた少年・朝陽くん役を演じた又野暁仁。実は過去に『スカーレット』『おちょやん』『カムカムエヴリバディ』にも出演している朝ドラ常連の役者だ。
演出の泉並敬眞は「六郎は非常に難しい役」と断言し、「僕は『スカーレット』のときから又野くんをよく知っていて、台本通り動いているのに、台本があるようにまったく見えないのが彼の才能」と話す。
「鈴子の周りにはいろんな人たちがいて、アホのおっちゃんもいるし、飲んだくれの親父もいる。そして、カメが友達の弟がいるというのが、ヒロインのキャラクターを作る上で大きい」と弟役の重要性を語り、「正直、又野くんしかいなかった」とオーディションを振り返った。
なお、脚本の足立紳氏がペットにカメを採用した理由について、演出陣は「動きが遅いってことじゃないですかね?」と推測。泉並は今後、六郎が大人になってもカメは登場すると明かし、「キャストの1人だと思っていただければ。カメも成長します」と予告した。