『アイシー』氷月は父親と対峙して何を思う? 最終回前に振り返りたい柊班との関係性

『アイシー』柊班との関係性を振り返る

 現在放送中の『アイシー ~瞬間記憶捜査・柊班~』(フジテレビ系)が3月25日に最終回を迎える。

 主人公は“カメラアイ”と呼ばれる瞬間記憶能力を持つ女性刑事・柊氷月(波瑠)。その能力を活かして、キャリアを駆け上がり、警視庁捜査一課第3強行犯第1係の主任としてチームを率いる役割を担っていた。

 物語の全体の軸となるのは、そんな氷月の能力だけではなく、彼女が抱える過去との葛藤だ。最終回では、全ての根源である父親と対峙して何を思うのか? これまでの氷月の描写を柊班の班員たちとの関係性とともに振り返りつつ、彼女の行く末を考えていきたい。

 物語の前半は、現場を一瞬で記憶して不可解な事件を解決に導く氷月の能力や、彼女が“氷の女王”と呼ばれている理由など、柊班に新たにやって来た新人刑事・瑞江(柏木悠)と同じ目線で、視聴者も氷月自身のことを知っていくことができた。しかしその矢先、瑞江は張り込み中に殉職してしまう。刑事としての情熱で氷月の心を溶かしかけていた瑞江と柊班員たちとの関係性がもっと深く描かれていくのだろうか、と思っていたところでの驚きの展開であった。

 後半に差し掛かると、氷月は班員の中でも特に頼れる存在であった土屋(山本耕史)が、自分のことを内偵調査していることを知る。母親が父親に殺される一部始終を目撃した過去がある氷月が、いつか父親と同じように衝動的に殺人を犯すのではないかと懸念した監察官室からの命令だった。事件捜査中の勝手な行動もあり、柊班は外部からは目を付けられ、班員たちの感情はごちゃ混ぜという状態に陥っていた。

 そしてクライマックスに向けて、ついに氷月は自分が避けていた過去と対面することになる。父親・夏見(杉本哲太)が出所することを知るのだ。その上、出所後に起きた警察官の拳銃強奪事件に、夏見が関与していることが明らかになる。その事実を突きつけられた氷月の息は荒くなっていき、ずっと遠くを見つめ、少しの不安と恐怖を滲ませる表情を見せる。

 氷月は自分の目で父親がしたことを確かめるため、捜査一課課長の安田(石黒賢)に休暇が欲しいと頼み込む。その目はまっすぐで揺らぎのない目だ。また、最近父親と会ったと言う妹・陽菜(加藤菜津)に対しても、何を話したのか教えてほしいと力強く訴えかける。恐怖への慄きと、自分を律しようとしている心の対比が描かれたシーンであった。

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