大島美優の一人二役がなぜ『おむすび』に必要だったのか 真紀と詩の狙いを制作陣が明かす

NHK連続テレビ小説『おむすび』が現在放送中。平成元年生まれの主人公・米田結(橋本環奈)が、どんなときでも自分らしさを大切にする“ギャル魂”を胸に、栄養士として人の心と未来を結んでいく“平成青春グラフィティ”。
第24週では、身元のわからない栄養失調の少女・田原詩(大島美優)が大阪新淀川記念病院に入院してくる。その顔は震災で亡くなった歩(仲里依紗)の親友・真紀にそっくりで、マスクを外した姿に結は衝撃を受ける。

詩は真紀を演じた大島美優が一人二役で演じているが、大島が真紀役としてドラマに登場した段階では、この展開は決まっていなかったのだという。
制作統括の真鍋斎は「大島さんには、中学時代の歩の友人役としてオーディションを受けていただきました。もともと真紀は、本当にわかりやすくオシャレでカッコよくて……というキャラクターにしようと思っていたのですが、大島さんの持っている愛嬌だったり、純粋さみたいなものを目にしたときに、『この子は真紀ちゃんにいいんじゃないかな』と感じて起用に至りました」と大島のキャスティングを振り返る。
そんな大島が今度は詩として再登場したわけだが、これについて真鍋は「詩という存在によって、結と歩が解放されていない思いに決着をつけるというか。『米田姉妹の最後に“真紀ちゃん”を絡めて物語ができないだろうか』というところから、脚本の根本(ノンジ)さんが詩というキャラクターを書かれたんです。となれば、ぜひ大島さんに演じてもらいましょうということで、話がまとまりました」とキャラクターが生まれた経緯を語る。

一方で、真鍋は「ドラマの表現としては同じ配役ですが、本来は“本当に似ている子”に演じてもらうほうがいいのだと思います。ですから、そこは概念みたいなものですね」とし、制作統括の宇佐川隆史も「あくまで詩の存在が先にある。瓜二つであることが重要なのではなくて、結と歩が関心を抱くきっかけにすぎない」と補足した。
脚本の展開によって、当初の予定にはなかった二役の演じ分けに挑むことになった大島。真鍋は「真紀のときには出番も少ないですし、純粋に“歩にとっての憧れ”としてシンプルにアプローチしたと思うんです。当時の真紀はまだ中学生で、震災で亡くなってしまう、ということしかわかっていないわけですから当然ですよね。けれどもオンエアを観て、『こんなに重要な役だったのか』と大島さんご自身も気がついたのではないかなと。プレッシャーとは違うと思いますが、今回は前回以上に台本を読み込んで、どう演じようかと非常に深く考えてきたんだろうなと感じました。それほど演技経験はないはずですが、映像で見ても結や歩に引けを取らない表現をしていて、ものすごく頑張ったんだなと感心しました」と賛辞を送った。