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村上春樹作品の映画化のポイントは“会話”にあり 『ハナレイ・ベイ』はもっとも成功した作品に?

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 10月19日、村上春樹原作の映画化である『ハナレイ・ベイ』が封切りとなった。これまでにもいくつかの村上作品が映画化されてきたが、今回はそれらを取り上げながら、村上春樹作品と映画の関係について考えてみたい。日本国内のみならず、世界的に影響力を持つ小説家である村上春樹。人気作家であるがゆえに期待も大きく、映画化に対する評価もシビアになりがちだ。来年2月には、『納屋を焼く』の映画化『バーニング 劇場版』も公開されるが、村上作品の映画化にはどのようなハードルがあるのだろうか。

『バーニング 劇場版』(c)2018 PinehouseFilm Co., Ltd. All Rights Reserved

 村上春樹作品の映画化でもっとも困難になるのは、会話をどのように再現するかだろう。村上作品における会話は、あくまで文字で読む会話である。文章として読んだ場合のリズム感やおもしろさはあるが、実際にあのような話し方をする人がいれば、相当奇妙なものになる。それは作者である村上本人が認めているところだ。「口に出されると僕の台詞ってリアルじゃないから。あれは読んでいると口語的に思えるけれど徹底的に文章的な表現なんです。文章としてはリアルです。でも実際声にすると馬鹿みたいになっちゃうんです」(「僕が翻訳を始める場所」)。だからこそ、映画化において会話は特に注意を払う必要があるはずだ。

 とはいえ、村上作品における会話はとても印象的であり、観客が村上作品らしさを感じるポイントでもあるため、映画に取り入れたいと考えるのは当然だ。村上作品に特有の会話・台詞まわしをどう処理するかが、映画化においては重要なポイントになるように思う。今回は、小説と映画における台詞の違いという観点から村上作品の映画化について考えていくが、映画版『風の歌を聴け』(’81)については、当時の一般的な言葉遣いと劇中の台詞がどれだけ乖離しているのか、判断がつきにくい部分があるため、言及は控えたい(70年代、80年代の映像を見ると、当時の人たちの会話は、現代とずいぶん異なっていることが多い。昔はこんな話し方をしていたのか、と驚くこともよくある。80年代初頭の日本人にとって、この映画の台詞まわしはどう響いていたのか、想像するのはやや難しい)。この稿では、市川準が監督した『トニー滝谷』(’05)以降の作品について考えてみたい。

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