本が多すぎる自宅はどうなる? 古本マニア・日下三蔵の断捨離が凄まじい

古本マニア・日下三蔵の断捨離が凄まじい

 また、日下邸とマンションの部屋を整理する方法も驚愕もの。とにかく本が多すぎて、必要な本と処分する本を仕分けする場所がない。そこでアパートを新たに借りて、まずそこに本を運び込み、空いた部分を仕分けスペースにするのだ。その後も、文庫本の山を片付けて、ようやくマンションのトイレが使用できるようになる(それまでは近所のコンビニのトイレを使っていた)など、どう考えても変だろうというエピソードが続く。最初は、これは必要だからといって、なかなか進まなかった断捨離が、書庫が整理されていくにつれ加速していくのも愉快であった。結局、これだけ大量の本を整理する最善の方法は処分しかないということだ。

 と、本の整理に困っている愛書家や蔵書家なら、読んでいて頷く部分は多い。だが、書庫の在り方は、それぞれ違うものだ。私が一番驚いたのは、日下氏が本棚としてカラーボックスを使っていること。もちろんカラーボックスを本棚代わりに使用することは、珍しいことではない。しかし、これだけの蔵書を、カラーボックスに収納している人は他にいないのではないか。まあ、蔵書が整理された状態で、どこに何の本があるか分かれば問題ないのだろう。読めば読むほど、驚きと感心が深まっていくのだ。

 日下氏の断捨離に関しては、家族の協力も大きい。とはいえ小野氏と小山氏の働きがなければ、いまだに終わらなかったのではないか。本の“魔窟”を整理できた日下氏。処分する本を引き取った小野氏。珍しい本を何冊も貰った小山氏。近江商人の三方よしではないが、誰もが幸せになった断捨離の記録が面白すぎる。本好きに是非とも手に取ってほしい、二冊の珍本なのだ。

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