【漫画】この求人欄 色々と『変』だと思いませんか? 新感覚ホラー『この画像を見てください』

【漫画】『この画像を見てください』

 全国から寄せられる不気味な「画像」を基に、その背後に潜む不可解な体験を執筆するホラー漫画家・狐歪野ツッコ(こわいのつっこ)。怪談作家・梨も絶賛する新感覚ホラー『この画像を見てください』の単行本化を記念し、創作の裏側を直撃。

「わけのわからないものは、そのままに」独自の美学で「厭なズレ」や「視覚的な違和感」を描き出す著者に、作画へのこだわりからホラー表現の未来、そして作品に込めた不穏な情熱までを語ってもらった。(リアルサウンドブック編集部)

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『この画像を見てください』(狐歪野ツッコ)

作画のこだわりは「気持ち悪さ」

ーー『この画像を見てください』の執筆・連載開始のきっかけを教えてください。


狐歪野ツッコ(以下、狐歪野):元々X(旧Twitter)上で文章でホラーを数多くポストしていたのですが、それを見た編集者さんにお声がけいただき、連載の開始となりました。

ーー読者より寄せられたエピソード、写真を基に漫画を描いたそうですが、エピソードの選定はどのようしていますか。

狐歪野:基本的には編集さんに選んでいただいてもらっていますが、やはり不気味なホラー要素が絵面でドン! とくるものに重点を置いています。

ーー寄せられるエピソードに共通点はあったりするのでしょうか。

狐歪野:私のところにお寄せいただくものは「気持ち悪さ」とか「厭さ」が共通しているように思います。

ーーエピソード1-2「奇妙な訪問介護求人」の元となる写真を見た時にどんなことを思われましたか?

狐歪野:よく見ると気づく違和感のようなものにゾッとしました。

ーー雑誌連載から単行本化するにあたり手を加えた部分や構成で気をつけた部分などはありますか。

狐歪野:連載数話分はリアリティを出すために実写写真を加工してそのまま背景に貼り付けていましたが、途中から貼り付けをやめてしっかり描き込み始めました。単行本化にあたり数点、背景を修正してあります。
構成は、出来るだけシンプルにテンポ良く読めるようには心がけています。

ーー作画でこだわっていることはありますか。

狐歪野:やはり「気持ち悪さ」ですね……その為に出来るだけ描き込みを増やすようにしています。

 そして最後の仕上げとして古い再生紙のような質感のフィルターを貼って歪な見た目になるようにしています。

ーー不穏さを表現するのに大事なものはなんでしょうか。

狐歪野:「ズレ」ではないでしょうか。
ちぐはぐなものって座りが悪いので。

楳図かずおをきっかけにホラーにハマる

ーーホラー作品に興味を持ったきっかけを教えてください。

狐歪野:子供の頃から怖がりでしたが、ホラー作品は妙に気になる存在でした。入りは小学生の時に読んだ楳図かずお先生の漫画だったように思います。本屋で立ち読みし始めたら止まらなくなって結局購入して帰った覚えがあります。

ーーホラー作品を作る上で大事なことはなんでしょうか。「これをやったら読者は白けるからやらない」といったルールのようなものは設けていますか。

狐歪野:わけがわからないものはわけがわからないままにしておく、というのは決めているかもしれません。

ーー文章の作品も手掛けていますが、文章と漫画の表現方法の利点をそれぞれ教えてください。読者の楽しみ方にも違いはあると感じますか。

狐歪野:月並みなお答えになってしまいますが、文章と漫画の一番の違いは視覚的な面ですね。文章は視覚の方は制限されますが、その分想像力を膨らませる事が出来るのでホラーとの相性はいいです。漫画はダイレクトに怖い絵面を持ってこれるのでこっちもホラーとの相性は抜群です。それぞれの良さがあるので、表現の仕方を使い分けています。

ーー単行本に収録されているエピソードは、どれも極端に今っぽくも昔っぽくもないと感じました。例えばSNSを題材にするなど、現代性を重視する選択肢もあったと思いますが、あえて普遍的な部分にフォーカスした理由はありますか。

狐歪野:あえて普遍的にした、という感覚は特にはないです。寄せられた話の中には、ネットで遭遇した怖いものや、SNSから応募した闇バイトでの恐怖など、あります(これらは2巻以降に収録されるかもしれませんし、されないかもしれません)。

謎を謎のまま許容するホラーの楽しみ方

ーー作品を読んだ読者の反応で印象的だったものはありますか。

狐歪野:私はどちらかというと「怖さ」よりも「不気味さ」を意識しているのですが、意外にも「怖かった」というお声を読者さんからいくつかいただけたのは意外でしたし嬉しかったです。

ーー過去と今でホラー作品の楽しまれ方に変化はあると感じますか? もしあればどのような点か教えてください。

狐歪野:ひと昔前はとにかく強烈な怪異や人怖を提示してストレートな怖さを味わうのがほとんどだったと思いますが、最近は、気持ち悪さや不気味や不穏、そして謎を謎のまま許容したりと、ホラーの楽しみ方が多様化してきていると感じます。

 そして発表の場も様々なので、表現の仕方も色々な種類が作れるようになりました(私の『この画像を見てください』も画像+漫画&読み物、という一風変わった表現の仕方です)。

 これによって、ホラーの楽しみ方は受動的に摂取するだけではなく、自ら違和感や不気味、果ては怖さを探す「体験型エンタメ」が多く世に出るようになっていると思います。


ーー今後の目標を教えてください。

狐歪野:今は空前のホラーブームで、私もその恩恵に預かっていますが、とにかく1つでも多くのホラー作品を世に出し続けられたらと思います。

ーー読者の方にコメントをお願いします。

狐歪野:私の作品は人を選ぶタイプのものだと思いますが、読んでいただいてありがとうございます。まだまだ未熟な私ですが、少しずつ進化していきますのでこれに懲りずに引き続きよろしくお願いいたします。

■書誌情報
『この画像を見てください』
著者:狐歪野ツッコ
価格:1,430円
発売日:2025年12月25日
出版社:竹書房

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