『鬼滅の刃』甘露寺蜜璃の刀は実在する? アニメで動く彼女の剣さばきに注目
※本稿は、『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴/集英社)のネタバレを含みます。同作を未読の方はご注意ください。(筆者)
あいかわらず『鬼滅の刃』が人気のようだ。そこで本稿では、現在放送中のテレビアニメシリーズ(「刀鍛冶の里編」)のキーパーソンの1人、甘露寺蜜璃の愛刀について書いてみたいと思う。
甘露寺蜜璃は、政府非公認の鬼狩りの組織「鬼殺隊」剣士の最高位――「柱」の1人である。「炎の呼吸」から派生した「恋の呼吸」の使い手であり、「恋柱」と呼ばれている。
また、一見華やかな容姿からは想像しにくいが、生まれながらの怪力の持ち主であり(彼女の筋肉の密度は常人の8倍だという)、その特異な肉体を維持するためには、日々大量の食物を摂取し続けなければならない。
そんな彼女は、過去に辛い経験をしていた。まずは17歳の時――見合いの相手から、強靭な肉体と、桜餅の食べすぎで変色した髪の毛を否定されたことがあった(当然、見合いは破談)。そしてその後、髪を黒く染めてか弱い女性のふりをしていたら、別の男性から求婚されるようなこともあったのだが、彼が見ているのは「私のままの私」ではない、ということに甘露寺は気づくのだった……。
結果、彼女は、鬼殺隊に入隊することになる。
それまでコンプレックスだった特異な体質を、鬼殺隊を束ねる“お館様”――産屋敷耀哉はこういってくれた。
「素晴らしい。君は神様から特別に愛された人なんだよ、蜜璃。自分の強さを誇りなさい。君を悪く言う人は皆、君の才能を恐れ、羨ましがっているだけなんだよ」
じっさい鬼殺隊には――とりわけ「柱」と呼ばれる剣士たちには、彼女を奇異な目で見る者など1人もいなかった。そう、ここに来てようやく、甘露寺蜜璃は、「私のままの私」でいられるかけがえのない“居場所”を見つけたのである。
破格の肉体が操る破格の武器
さて、その甘露寺蜜璃が使う武器だが、ひと言でいえば“異形”という他ないだろう。鬼殺隊の剣士たちはみな、太陽に最も近い「陽光山」の砂鉄と鉱石を原料にした「日輪刀」を使用することになるのだが、彼女の刀の形状はむしろ「鞭」のそれに近いのである。
そう、薄く柔らかい、そして、長い刃(やいば)を高速で鞭のようにしならせて、彼女は鬼を斬るのだ。これは、典型的な日本刀を使う場合と比べ、敵にそれほど接近しなくてもいいというメリットはあるものの、うまく操らなければ自らを切り刻むことにもなりかねない、まさに“諸刃の剣”だ。規格外の肉体の持ち主である甘露寺蜜璃だからこそ扱える、破格の武器だといえよう。