『鬼滅の刃』炭治郎はなぜ柱になれなかった? その条件と“お館様の意図”を考察

『鬼滅の刃』炭治郎はなぜ柱になれなかった?

※本稿は、『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴/集英社)のネタバレを含みます。同作を未読の方はご注意ください。(筆者)

 本日4月23日(日)、テレビアニメ『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』の第三話が放送される。

 周知のように、この「刀鍛冶の里編」では、恋柱・甘露寺蜜璃と霞柱・時透無一郎という2人の「柱」が活躍することになるわけだが、本稿では、主人公・竈門炭治郎が、その「柱」に最後までなれなかった理由について考えてみたい。

「柱」になれる条件とは

 まず、「柱」とは何か。「柱」とは、政府非公認の鬼狩りの組織「鬼殺隊」の最高位の剣士たちのことである(「柱」という文字の画数と同じ、9人の剣士たちがいる)。

 それぞれの剣士が使う呼吸法にちなみ、たとえば、「水の呼吸」の使い手なら「水柱」、「炎の呼吸」の使い手なら「炎柱」と呼ばれている。そして、その「柱」たちの下には、「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」(序列順)という10の階級に分かれた隊士たちが存在する。

 なお、『鬼滅の刃』の本編では、なぜか炭治郎の階級について触れられることはほとんどなく、強いていえば、藤襲山での「最終選別」に合格した時点が「癸」であったことと、「遊郭編」の序盤で、「庚」に昇格していたということがわかる程度だ。

 あとは、「公式ファンブック」にて、炭治郎の最終的な階級が「丙」であったということが明かされている(第134話で、先輩隊士の村田が、炭治郎たちのことを「短期間で階級上がる奴ら」といっているので、おそらくはこのあたりで「丙」に昇格したのかもしれない)。

 ちなみに、「柱」に選ばれる条件は、以下のいずれかである。

(1)「甲」の階級の剣士で、「十二鬼月」(=「上弦の鬼」6体と「下弦の鬼」6体からなる、鬼舞辻無惨配下の最強の鬼たち)を1体倒した者。

(2)「甲」の階級の剣士で、「十二鬼月」以外の鬼を50体倒した者。

炭治郎はなぜ「柱」になれなかったのか

 つまり、「柱」になるための前提として、まずは「甲」の階級まで昇格している必要があり、最終的な階級が「丙」であった炭治郎は、その条件を満たしていないのである。

 ただし、彼は、刀鍛冶の里での戦いを終えた時点で、(仲間たちの協力もあったとはいえ)下弦の鬼1体(魘夢)と上弦の鬼2体(妓夫太郎、半天狗)の頚(くび)を落としているわけであり、それほどの実績のある剣士が「甲」になれないのはおかしい、という見方もできるだろう。果たしてそれはなぜか。

 1つは、炭治郎が連れている妹・禰豆子の存在がネックになっていた可能性がある。というのは、鬼殺隊の隊士の多くは鬼に私怨を抱いており、彼らにとっては、鬼である禰豆子は忌まわしい存在以外の何ものでもないからだ。当然、兄の炭治郎に対しても、良い印象を持っている人間ばかりだとは限らない。つまり、炭治郎の「甲」や「柱」への昇格は、時間をかけてゆっくりとおこなった方がよいと、お館様(=産屋敷燿哉)は判断したのではないだろうか。

 そして、もう1つ。たぶんこちらの方が“正解”なのではないかと思っているのだが、お館様としては、「柱稽古」(15巻~16巻)を終えたあたりで、炭治郎を「甲」へ昇格させ、ゆくゆくは「柱」にしようと考えていたのかもしれない。その場合は、(炭治郎が「水の呼吸」の使い手であるため)現・水柱の冨岡義勇が身を引くことになるか(じっさい、冨岡は秘かにそれを望んでいた)、「水柱が2人」という特例(?)が認められたかもしれない。

 しかし、柱稽古が終盤にさしかかったあたりで、突然、「無限城」での“最終決戦”が勃発してしまったため、結果的に、昇格自体があやふやになってしまったのではないだろうか。

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