「魔法科高校の劣等生」シリーズの面白さは爽快感にアリ 劣等生にして最強の魔法使いが敵をなぎ倒す
激しいバトルの狭間で紡がれ続ける心と心の強い結びつき。それを見守り続ける使命感をひとたび抱けば、もう誰もシリーズから離れられない。
強大な力を持った魔法師たちが集団を作って、日本を影から動かしているような構図があり、そうした構図の上で、魔法師の師族たちが勢力争いをしている描写があることも、作品を社会との繋がりを持ったものにしている。東アジアの国々と対立している構図は、シリーズが発表され始めた時以上に緊張感を漂わせている現実の情勢を移していて、起こりえる事態への対応を示唆する。現実の世界に魔法師はおらず達也もいないとしたら、出来ることは何なのかを考えてしまう。
学園での下克上から始まって、ライバル校の生徒たちを相手にした対抗戦で勝利を重ねるカタルシスを味わい、外国から進入してきた敵を相手に達也をはじめとした若き魔法師たちが力を振るう展開を楽しみ、魔法師たちの勢力争いをくぐりぬけるスリルを感じ取る。そんな、紆余曲折があって驚天動地もあるストーリーが繰り広げられた「魔法科高校の劣等生」シリーズ。達也や深雪が高校を卒業し、魔法師の地位向上を目的とした組織を立ち上げ、世界に散らばる魔法の遺産を探して回る「続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー」のシリーズへと移っても、達也の強さは相変わらず発揮され続けて、何と頼りがいのある“お兄様”だろうと思わせてくれる。
圧倒的に強く、絶対的に妹思いの主人公によって繰り広げられ、世界へと広がり魔法の根源に迫る深さ見せ始めた物語が行き着く先はどこなのか。終わりまで追い続けざるを得ない。