日本女子柔道初の金メダリストが、小林まことに再びペンを持たせたーー『JJM 女子柔道部物語』が描く、恵本裕子の人生

『JJM 女子柔道部物語』レビュー

まだ始まったばかりのストーリー

 原作者の恵本裕子だけでなく、恵本を実業団にスカウトした北田典子、北田と同時代を生きた九戸かおりなど、女子柔道の歴史を紡いできた当時の柔道選手たちの証言も物語の中に組み込まれており、80〜90年代の女子柔道界の一面を、彼女たちの目線から振り返る貴重な機会であるとも言える。小林まことの体力が続く限り連載は継続されるだろうが、神楽えもの物語はまだ始まったばかり。金メダル獲得までには今まで以上のドラマやハプニング、とんでもエピソードも待ち受けていることだろう。えものわかりやすくてまっすぐな心、そしてこれと決めたときに突っ走れる行動力は、このご時世、読者を笑顔で溢れさせてくれる魅力に満ちている。女子柔道初の金メダリストがどれだけ魅力的な人間かということを、ぜひこの機会に本書を読むことで一人でも多くの人に知ってほしい。

■関口裕一(せきぐち ゆういち)
スポーツライター。スポーツ・ライフスタイル・ウェブマガジン『MELOS(メロス)』などを中心に、芸能、ゲーム、モノ関係の媒体で執筆。他に2.5次元舞台のビジュアル撮影のディレクションも担当。

■書籍情報
『JJM 女子柔道部物語(8)』
恵本裕子 原作 
小林まこと 脚色・構成・作画
価格:本体640円+税
出版社:講談社
公式サイト

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