まさに大人向け『ハリー・ポッター』!? 『マジシャンズ』が描く、アメリカ的な魔法世界

『マジシャンズ』が描くアメリカ的な魔法世界

 マジシャンズと聞くと、多くの人は「手品師」を思い浮かべてしまうかもしれない。主人公のクエンティン・コールドウォーターだって、劇中、はじめはそう解釈していた。不思議な運命に導かれ、たどり着いた巨大な大学にて選考試験を受ける羽目になる彼。不意に「何かやってみて」とトランプを手渡された彼は、手品を披露しようと懸命にカードを切る。しかし面接官は首を横に振り「そうじゃない」と言う。

「我々が求めているのは手品ではない。本当のマジック=魔法なんだよ」

 こうやって本作はタイトルからは程遠いダークでクリーピーな世界を起動させていく。これは手品師たちが織り成す『グランド・イリュージョン』のような作品とは全く異なり、むしろ形容するならば『ハリー・ポッター』の世界を米国版に置き換え、しかも登場人物の年齢を大学レベルへと押し上げたような内容と言えるだろう。レヴ・グロスマンによる原作『The Magicians』(日本では未刊行)を脚本へと昇華したのは『スーパーナチュラル』のセラ・ギャンブルと『ザ・プロテクター/狙われる証人たち』のジョン・マクナマラ。いずれも名実ともに申し分のない作り手たちだ。

 第1シーズンが放送されたのは2015年。現在、アメリカでは第2シーズンが好評放送中という。その一連の評判をチェックしてみると、よく見かけるのがやはり「大人向けハリー・ポッター」という声である。確かに魔法が登場するところや学園が舞台といった点ではハリー・ポッターを彷彿とさせるが、もちろん英国風にホウキにまたがったり、杖を前に出してゴニョゴニョ呪文を唱えたり、魔法の帽子を使って組分けが行われることもない。あくまで「アメリカ的」であり、「大人向け」な様式とストーリーになっている。

20170331-TheMagicians-sub1.jpeg

 

 ではどこが「大人向け」なのか。例えば、第1話で物語が幕をあけると、そこは精神科のクリニック。診療室で質問に答える主人公クエンティン(ジェイソン・ラルフ)は、投薬治療を続けるかたわら、ファンタジー小説を読みふける毎日を送っている。

 クエンティンがこれから踏み込む不可思議な世界は果たして現実なのか、それとも幻想なのか。我々は彼をどこまで信じて良いのか。きっと彼自身、最初は自分の見つめているもの、いや自分自身すら全く信じ切れていなかったに違いない。そんな根本的な疑問をはらみつつ、物語は徐々に速度を上げ、不可思議さの度合いを全開にしていく。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「作品評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる