PR
もしも悲しみが目に見える生物になったらーー心の傷に寄り添う小説『カナシミ水族館 心が泣き止む贈り物』に癒される

この世は想像以上に、悲しみで満ちている。大切な人の死にはどうしたって遭遇するし、日常生活の中では誰かのなにげない一言で心が傷つくこともある。もしかしたら悲しみは、喜び以上に身近な存在なのかもしれない。
だからこそ、読み手は「もう一度、人を信じたい」と「信じるのが怖い」の間で揺れ動く律に自分の痛みを重ね、スタッフが口にする言葉に癒しや救いを見出す。
「心を預けるのが怖いなら、相手のことをもっと知ろうとしてみたら?それだけなら、別に心を閉ざしたままでもできるでしょ。」(P67/引用)
「完璧な人間など存在しませんし、誰にでも欠点はあります。ですが、人は相手の欠点を好きになることもあるのです。」(P174/引用)
優しくも重い言葉の数々は、未消化の悲しみと向き合う勇気も授けてくれることだろう。
悲しみは受け入れるのが難しい感情だからこそ、感じないフリをするなど、自分なりに “処理”してしまうことも多いように思う。だが、悲しみは、それほどまでに何かを大事に思えていた自分がいた証だ。呆れるほど真っすぐでピュアだった“あの私”は尊く、簡単に処理していいものではない。
そう気づかせてくれる温かい本作が、あなたの心に届くことを願う。手に取ればきっと、愛や喜び、守りたかった記憶も詰まっている「悲しみ」という感情が愛しくなるはずだ。























