名作ミステリ『爆弾』映画化決定 話題のスズキタゴサクとは? 山田裕貴、伊藤沙莉らを翻弄する“謎の男”

『爆弾』スズキタゴサク役の俳優は誰になる?

■スズキタゴサク役は誰になる?

 さて、気になるのは、肝心のスズキタゴサク役のキャスティングがまだ発表されていないことだ。原作通りならば、登場人物のうち誰よりも出番が多く、誰よりも台詞量が多い役柄だ。すっとぼけた言動で韜晦しつつ、警察官たちの心理を崩壊させてゆく悪魔的キャラクター。よほどの曲者俳優でなければ務まらない大役である。

 せっかくなので、現時点でスズキタゴサクのキャスティングを予想してみよう。実は原作を初めて読んだ時、脳内に思い浮かんだのは佐藤二朗だった。佐藤はドラマ『勇者ヨシヒコ』(テレビ東京系)シリーズで、ヨシヒコの問いかけを適当にはぐらかし続けるいい加減な仏を演じていたが、あののらりくらりとした交渉術が悪の方向に振れたら恐ろしいことになるのではないかと思ったからだ。コミカルな役柄が多い俳優ながら、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では茫洋とした言動の裏に野心を隠した比企能員、映画『リボルバー・リリー』では滑稽な小悪党から得体の知れない怪物へといつの間にかスライドしているヤクザの平岡……と、底知れぬ邪悪さを表現するのも得意だ。

 以前、スズキタゴサクを誰が演じるのがいいかをX(旧Twitter)でやりとりしたことがあるが、その際に名前が挙がったのが宇野祥平と荒川良々だった。宇野祥平は近年は映画『罪の声』『ラストマイル』などで善良な役を好演しているけれども、もともとは、初主演映画『オカルト』での狂気に満ちた演技で観客の心に決して消えない傷跡を刻み込んでみせた怪優だった(『オカルト』『ラストマイル』と、爆弾に縁のある出演作がやけに目立つのも気になる)。荒川良々もすっとぼけたコミカルな役が多い俳優だが、ドラマ『必殺仕事人2009』(ABCテレビ・テレビ朝日系)の無差別に人を斬りまくる侍や、ドラマ『タリオ 復讐代行の2人』(NHK総合)の復讐に取り憑かれた男のような役柄では、視聴者を心底震え上がらせる演技を披露している。

 他にも、映画『死刑にいたる病』では獄中から外界の人間を操る死刑囚、映画『十一人の賊軍』では非情な策謀で藩を守る家老……といった敵役も得意とする阿部サダヲも、スズキタゴサク役の有力候補と考えられる。ここで名を挙げた顔ぶれの中にスズキタゴサクがいるかどうかは現時点では不明ながら、配役が発表されるまでは自分なりのスズキタゴサク俳優を想像してみるのも一興だろう。

■公開情報
『爆弾』
2025年 全国公開
出演:山田裕貴、伊藤沙莉、染谷将太、渡部篤郎
原作:呉勝浩『爆弾』(講談社文庫)
監督:永井聡
配給:ワーナー・ブラザース映画
©呉勝浩/講談社 ©2025映画『爆弾』製作委員会
公式サイト:bakudan-movie.jp
公式X(旧Twitter):@bakudan_movie
公式Instagram:@bakudan_movie

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