【ラノベ最新動向】『薬屋のひとりごと』シリーズがランキング20位までほぼ独占!

『薬屋のひとりごと』ランキング席巻

 日向夏の『薬屋のひとりごと』(ヒーロー文庫)人気が沸騰している。Rakutenブックスの週間ライトノベルランキング(2月5日~11日)で小説版の既刊14冊と、しのとうこによる『薬屋のひとりごと』に関するイラストを集めた『薬屋のひとりごと画集』(主婦の友社)が20位までにすべてランクイン。10位までを見ても1位から10位までのうち9冊を関連書籍が占めた。

 背景にあるのは、2023年10月から放送されているTVアニメ版の評判の良さだ。同じく2023年10月から放送がスタートした『葬送のフリーレン』に並び超えることもある人気ぶりで、NetflixのデイリーでのTV番組TOP10に常に顔を出している。

 遊郭育ちで薬学や医学の知識が豊富な猫猫という少女が、人さらいにあって入れられた後宮でそうした知識を使って謎を解いていくミステリとしての面白さがあり、美貌の宦官でどこか謎めいたところもある壬氏との関係にも興味を誘われる。そうしたストーリーが精緻な背景美術の上で、くるくると表情を変えるキャラクターによって紡がれる。そのキャラクターたちに高い演技力を持った悠木碧やイケボの大塚剛央らが命を吹き込む。

 筋も絵も声も音楽も良いとあって申し分のないアニメの出来を見た人なら、この物語世界にもっと触れてみたいと思って当然だ。ネコくらげ、倉田三ノ路がそれぞれに連載している漫画版に行く人も少なくないだろうが、やはり原典となる小説版を読んでみたいと手に取る人の多さが、ランキング独占という結果となって現れた。

 アニメの方は目下、小説版の2巻となる『薬屋のひとりごと2』を描いていて、羅漢というモノクルをかけた怪しげな軍師の男と猫猫との関係が明らかにされたばかり。伝わってくるのは羅漢による猫猫への激しい執着と、猫猫が羅漢に対して放つ強い嫌悪であり憎悪といった感情だが、これはシリーズを通してずっと続いていくのか、それとも変化していくのかを知りたいと思ったら、原作を手に取ると良いだろう。それは同時に、壬氏という美貌の宦官にまつわる秘密にも触れさせてくれる。

 第2クールの冒頭で登場して以降、あまり出番のない楼蘭妃のドラマや、化粧を施された壬氏の国を滅ぼしかねない美しさも3巻以降に描かれていく。それらを読んでからTVアニメ化を待つか、TVアニメを見てから小説版を味わうか。第2クールより先がいつごろTVアニメになるか分からない状況だけに、待ちきれないと手に取る人がこの先大勢出て来て、ランキング独占を続ける可能性も低くはない。

 『薬屋のひとりごと』のベスト10独占を阻んで8位に割り込んだのは、3月25日発売予定の天岸久弥『魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 番外編』(KADOKAWA)。過労死して異世界に転生したダリヤが、婚約破棄という憂き目に遭いながらも発憤し、魔道具師として生きていくことを決断する、といったストーリーのシリーズに登場するキャラクターたちのサイドストーリーが集められている。

 「魔物討伐部隊編」ではドリノやランドルフたち隊員の友情と日常が描かれる。「商人と職人編」ではイヴァーノやフェルモの過去と、彼らが抱く熱意が語られる。「スカルファロット家編」ではグイードとヨナス、水の伯爵家の隠れた一面が垣間見える。書籍限定の書き下ろしも加わった30編超が収録されて、『魔導具師ダリヤ』シリーズの9巻と10巻との間に何があったかにも触れられる1冊だ。

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