【書店ルポ】川越駅、地域密着から大型チェーンまで本好きを魅了する書店が充実
■地方都市では稀有な書店の充実度
川越駅から本川越駅に向かう間には、全長約1200mのクレアモールという商店街がある。この商店街の特徴は昔からある小売店や職人の店と大手チェーンが共存し、常に人通りがあることだ。日本屈指の活気ある商店街といわれることもあるというが、納得である。活気がある要因は様々だが、本川越駅から川越駅に乗り換える人が利用するし、川越駅から蔵造りの街並みへと徒歩で向かう観光客の需要もあるためだろう。
クレアモールには川越最大級の書店、「紀伊國屋書店 川越店」がある。同店のホームページを見ると、コミック売場と学習参考書コーナーが充実の品ぞろえで、“「あそび」も「まなび」も強力にサポートしたい”という思いが込められているといい、学参コーナーは学校帰りの学生が多数立ち寄っていた。これまで多くの書店を訪問してきたが、活気のある書店の特徴はとにかく学生の姿が多いことである。そして、若者が気軽に入りやすい店づくりをしているかどうか。これはあらゆる業種で大切なポイントではないだろうか。
なお、同じビルには「星乃珈琲店」があり、「紀伊國屋書店」で買い求めた本を読む人の姿が見られた。書店が町の中に溶け込んでいると感じられた。ちなみに、クレアモールにはアニメや漫画の専門店「アニメイト川越店」があり、同じビルには中古漫画本やグッズを扱う「らしんばん川越店」もある。
川越は埼玉県内の都市では総じて活気のあるエリアと思うが、コロナ騒動の影響か、やはりシャッターを閉めた店舗や廃墟となったビルも目に付く。また、かつてはもっとあったであろう、個人経営の中小規模の書店が少なくなったのが気がかりである。それでも、あらゆる本の需要に応える店が駅周辺に集結しており、読書家が住む地方都市としては最強レベルと言っていいだろう。