タニグチリウイチの名作ラノベ解説
「ダンまち」シリーズ、10年続く人気の秘訣 “あらゆるキャラの出会いと成長”描いて壮大な物語に
ここまで描いてしまって、これから先をどう繋げていくかといった不安も漂うくらい、本編の太い流れが決着してしまった18巻。シリーズを動かしてきたキャラクターたちからも、ある意味で退場を余儀なくされる者が出た。【フレイヤ・ファミリア】の団長で、オラリオの頂点に立つ強さを持ったオッタルをも退けてしまったベルに、もはや壁となって立ちふさがる存在はいない。これで大団円……といかないところに「ダンまち」シリーズが世界を広げ、ドラマを深めて来た意味がある。
アイズによる自分探しの旅と、ベルの憧れをどこまでも追い求める冒険とが重なった先。ダンジョンに限られていた物語が、世界を蝕むモンスターたちを相手にした展開を経て、隻眼の黒竜という世界を滅ぼしかねない敵を倒す、冒険者に与えられたクエストと向き合う壮大なものへとなっていくのかもしれない。そのための布石となりそうな、過去の地上で繰り広げられただろう冒険と戦いの神話的ストーリーが、『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 英雄譚』として7月と8月に刊行される。
その後、神話的な物語を得て強さが増した世界観の上に積み重ねられていく、ベルとアイズとそして大勢のキャラクターたちのストーリーが向かう先は果たして? お楽しみはまだまだ続く。